出店者選択可能へ制度変更受け判断、独禁法違反疑いの審査は継続と表明
公正取引委員会は3月10日、楽天が同18日からの開始を表明していたインターネット通販サイト「楽天市場」で原則3980円以上商品を購入すると「送料込み」と表示する新たな制度は、優越的な立場を利用して出店者に不当な要求をすることを禁じた独占禁止法に違反する疑いがあるとして、東京地裁に申し立てていた緊急停止命令を取り上げることを決めたと発表した。
楽天は3月6日、新型コロナウイルス感染拡大の影響で出店者が人手不足になっていることなどを理由に、制度を一律に導入せず希望する出店者から順次始めるよう変更すると発表していた。
公取委は同社の方針転換を踏まえ「出店事業者が参加するか否かを自らの判断で選択できるようになるのであれば,当面は一時停止を求める緊急性が薄れるものと判断した」と説明。同時に、独禁法違反の疑いに関する審査は継続すると表明している。
楽天は3月10日、「本件申し立ての取り下げ等による当社業績への影響について、今後開示すべき事項が発生した場合には速やかに開示する」とのコメントを発表したが、取り下げへの対応など詳細には言及しなかった。
(藤原秀行)