【独自取材】“「置き配」パイオニア”のファンケル、再配達削減へ一層の利用促進

【独自取材】“「置き配」パイオニア”のファンケル、再配達削減へ一層の利用促進

CRE物流フォーラムでサービス内容解説、「サンキューデー」設定しまとめ買い後押しも

ファンケルのグループサポートセンター物流部で物流運営グループ課長を務める中澤啓至氏はこのほど、シーアールイー(CRE)が東京都内で開いた物流企業や荷主企業の担当者ら向けのフォーラムで講演した。

中澤氏は、ファンケルが無添加化粧品や栄養補助食品などの通販に関し、1997年から通販業界に先駆けて実施している「置き場所指定お届けサービス」の利用率が宅配全体の3割程度に上っていると解説。現在は日本郵便が展開している同様のサービス「指定場所ダイレクト」に移行しており、荷物の再配達削減の必要性が社会的にも注目されていることを踏まえてさらに利用を促進していく考えを表明、“置き配のパイオニア”として取り組みを率先していく姿勢をアピールした。


講演する中澤氏

玄関前の希望が4割で最多

中澤氏は、女性の社会進出が加速して商品を注文しても急な仕事が入って受け取れなかったり、小さな子どもがいる場合はチャイムを鳴らされてもなかなか応対できなかったりするとの声が出てきたことを受け、購入者が在宅、不在のいずれの場合でも確実に受け取ることができるよう「置き場所指定お届けサービス」を導入したと契機を説明。現在は千葉県柏市に構えている物流センターから商品を1日当たり約1万8000件出荷していることを明らかにした。

置き配について、従来は玄関前やガスメーターボックス、集合ポスト、その他ポスト、物置、車庫、管理人への預け、洗濯機の中、宅配ボックス、自転車のかご、その他の11カ所の中から選択可能としていたことに言及。その他については、犬小屋の中などでも要望すれば届けていたという。

現在は日本郵便のサービスに統一したため、その他は廃止され、集合ポストとその他ポストが「ポスト(郵便受箱)」に統一されるなどの変更があったものの、複数箇所の中から選定できる基本的な方針に変更はないと指摘した。置き場所指定の利用層としては40~60歳代が最も多いという。

利用の割合としては、置き場所指定のうち玄関前が4割超で最も高く、宅配ボックス、ポスト(郵便受箱)、メーターボックスなどと続いていることを紹介。置き配で懸念される盗難や紛失などのトラブルは、具体的な件数は明らかにしなかったものの「年間でもほとんどない」と話した。

中澤氏は「(40~60歳代から)他の年齢層を含めた伸びしろは大きい。置き場所指定の認知度を高めていくことが必要」との見解を示し、再配達削減へさらに貢献していくため、ファンケルのホームページや商品カタログなどで利用を呼び掛けるほか、電話で注文を受けた場合もアナウンスすることなどを強調した。同時に「直接手渡しを希望されるお客さまもいらっしゃる」と指摘、受け取り方法に関するユーザーの多様なニーズを考慮する必要性を訴えた。

併せて、18年4月に送料の仕組みを改定し、3000円以上買えば一律100円としたことで配達件数が減少したことを報告。他にも、一定金額以上購入するとプレゼントを贈るキャンペーンを実施してまとめ買いを促したり、毎月3日と9日を「39デー(サンキューデー)」と位置付け、ポイントの還元率を普段より高めて注文のタイミングを集中、物流効率化につなげるよう図ったりしていることにも触れた。


約70人が集まった会場

(藤原秀行)

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