荷物の取り卸し自動化や長距離輸送の配車最適化目指す

荷物の取り卸し自動化や長距離輸送の配車最適化目指す

日本郵便とサムライインキュベートが商用化支援の新興2社を決定

 日本郵便と起業支援を手掛けるサムライインキュベート(東京)は10月15日、郵便や物流の分野を大きく変革する可能性を秘めた新規事業立ち上げを促進するプロジェクト「POST LOGITECH INNOVATION PROGRAM 2018」の対象となる企業2社を採択したと発表した。

 2社はソフトウエア開発のRapyuta Robotics(ラピュタ・ロボティクス、東京)と、量子コンピューターソフト開発のエー・スター・クォンタム(同)。日本郵便はプロジェクトのメーンテーマ「郵便・物流のバリューチェーン全体をテクノロジーで変革する」の体現に向け、この2社が持つ優れた先進技術の実用化を日本郵便とサムライインキュベートがサポート。人手不足に悩む物流現場の窮状打開につなげたい考えだ。

 両社は東京都内の新東京郵便局内で同日記者会見し、今後の取り組みの方向性を説明した。ラピュタのソフトウエア開発技術などを駆使して日本郵便の物流拠点におけるベルトコンベヤーへの荷物の取り卸しなどの業務を自動化・省人化することを想定。

 エー・スター・クォンタムに関しては、地域間の長距離輸送に関する配車の最適化に役立て、トラックドライバー不足に対応していくことを検討する。両社は2019年2月に自らの技術のデモンストレーションを公開し、着実に実用化を図る計画。

 同プロジェクトは17年に続いて2回目。専用ウェブサイトを通じてスタートアップ企業から事業のアイデアを募り、集まった70社の中から選んだ。今後は両社が有望と認めたものを資金面などで支援。実用化を後押しし、配送現場の人手不足など郵便・物流分野が抱える課題の克服を目指す。

 採択された2社に対し、日本郵便が全国で抱える約14万台の事業用車両や約18万本の郵便ポストといった郵便・物流ネットワークの一部を実証実験に提供するほか、日本郵便やサムライインキュベートが出資を検討。著名企業幹部や有識者らによる事業化のアドバイスも実施する。

(藤原秀行)


採択された2社のロゴマーク(日本郵便提供)

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