コロナ拡大響き、後退局面入り鮮明に
政府は4月23日、4月の月例経済報告を関係閣僚会議で報告した。景気の基調判断は「新型コロナウイルス感染症の影響により、急速に悪化しており、極めて厳しい状況にある」とし、3月の「新型コロナウイルス感染症の影響により、足元で大幅に下押しされており、厳しい状況にある」からさらに引き下げた。
基調判断で「悪化」と明確に表現するのは、リーマンショック後の2009年5月以来、約11年ぶりとなる。下方修正は2カ月連続で、第2次安倍内閣がスタートした当時の12年末に拡大局面が始まったと政府が認定した日本の景気は“コロナショック”で後退局面に転じたことが鮮明となった。
月例経済報告は政府が毎月、主要な経済統計や国内外の環境変化などを踏まえ、公式な見解として景気の基調判断を表明している。4月の報告は先行きについても「感染症の影響による極めて厳しい状況が続くと見込まれる。また、感染症が内外経済をさらに下振れさせるリスクに十分注意する必要がある。金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある」と強い調子で警戒感を示した。
主要項目ごとの判断では、個人消費は3月の「このところ弱い動きとなっている」を「急速に減少している」に引き下げたほか、輸出も「弱含んでいる」から「感染症の影響により、このところ減少している」に下方修正した。
生産は「引き続き弱含んでいる」から「感染症の影響により、減少している」に、企業収益は「製造業を中心に弱含んでいる」から「感染症の影響により、急速に減少している」に、業況判断は「感染症の影響により、悪化している」から「感染症の影響により、急速に悪化している」にそれぞれ変更した。
月例経済報告の関係閣僚会議に出席した安倍晋三首相(左の中央)ら(首相官邸ホームページより引用)
(藤原秀行)