大量供給と一線画す姿勢鮮明に―ロジビズ・オンラインインタビュー
グッドマンジャパンのアンガス・ブルックスCEO(最高経営責任者)はこのほど、ロジビズ・オンラインのインタビューに応じた。ブルックスCEOは物流施設開発の事業戦略として、開発の数を追わず需要や立地を慎重に検討し、適正な賃料を設定する「慎重かつ賢明」な投資を堅持する姿勢を強調した。
併せて、激しい開発競争の中で明確に差別化するため、欧米や中国、オセアニアなどグループで事業展開している他のエリアと同様、大消費地を抱えた人口の多い都市部に焦点を絞る「ゲートウェー都市戦略」に引き続き注力する意向を示した。
ブルックスCEOは、過去1年間の事業を振り返り「ビジネスが非常に好調だった。計画通り物件が完成してリーシングも進み、新たな物件開発も計画通りのペースで進んでいる」と説明。
順調な事業展開の要因として、長期的な視野に立ち、一時の建物集中により雇用しにくくなる恐れがないか、道路網が整備され施設周辺に渋滞を引き起こす恐れがないかなど、綿密なリサーチに基づき進出エリアを選定し、計画的かつ段階的に開発を進めてきたことを挙げた。
今後の物流施設市場の展望については「供給が徐々に落ち着いてくると思っているが、エリアによっては(供給過多の)リスクがある。世界経済も好調がいつまでも続くわけではなく、下振れの可能性も十分想定される」と指摘。リスクに備えるためにも、定量的な開発目標を設けず、常に余力を持って投資することが必要との見方を示した。
さらに、今後の開発ペースに関し「クオリティーの高い物件を良い立地で、魅力的な価格で提供する。この3点全てを達成できないのであれば投資機会があっても手を出さないというのが当社の姿勢だ」と明言。昨今の大量供給の潮流とは一定の距離を置く姿勢をあらためて鮮明に打ち出した。開発候補地として注目する場所は、首都圏の圏央道から海側にかけての都心エリアと関西圏を挙げた。
ドライバー向けシャワールームやコインランドリーなど整備へ
同社の旗艦プロジェクトとして展開している千葉県印西市の「グッドマンビジネスパーク」の進捗状況については「既存の2棟はほぼ満床となっており、来年2月に完成予定の3棟目も引き合いは盛んだ」と言及。広大な敷地内には物流以外の産業用途施設なども誘致して多様なニーズに応えるほか、地域住民向けのスペースも整備する構想だと重ねて説明した。
加えて「トラックドライバーの方々をターゲットとしたサービスを提供したい」と述べ、ドライバー向けにシャワールームやコインランドリーなどのスペースを充実させる計画を明らかにした。
物流業界で深刻な人手不足が続いていることに対しては、通勤しやすい立地選定やアメニティー設備の充実、優良な建築デザインの導入、既存施設の共用部を定期的改修といった既存の取り組みを引き続き地道に推進すると語るとともに、ロボットなどIT技術の導入支援を検討することにも意欲をのぞかせた。
(藤原秀行)
この記事のインタビューを元に一問一答形式でまとめた「大型案件は一度に全て建てず、段階的に開発することが絶対必要」も併せてご覧いただけますと幸いです。
ブルックスCEO
「グッドマンビジネスパーク ステージ3」の完成イメージ(グッドマンジャパン提供)