8600万円、全額を厚労省に寄付で返納
商船三井は5月21日、子会社のジャパンエキスプレス(神戸市、JEC)が国の「中小企業緊急雇用安定助成金」を不適切に需給していた可能性が高いことが判明したと発表した。
同助成金は景気が悪化した際に従業員を解雇せず休業させた場合の休業手当などを補助している。商船三井によれば、JECはリーマンショック後の深刻な景気低迷に対応するため、2009年4月~11年3月の2年間を対象に同助成金を申請、約8600万円を受給した。
しかし、内部通報を受けて商船三井で調査した結果、本来は申請できない額の助成金を受給しており、JECの一部経営陣が承知していた可能性が高いことが分かったという。JECは5月11日、兵庫労働局を訪れて報告、謝罪した。
商船三井の調査によれば、実際には休業や時短勤務を行っていないにもかかわらず、出勤簿には実施したと記載、申請したケースがあったという。出勤簿は勤怠状況を記録したものと、申請のために休業などを行ったと記載したものの2種類が作成されていた。
今回の不適切受給は会計法上の時効が16年に成立しているが、商船三井はJECに対し、受領した助成金を全額、厚生労働省へ寄付で返納するよう指示。「原因究明の上、再発防止策を策定、実施する」と謝罪した。
(藤原秀行)