Yperが利用促進へ新サービス、物件オーナーに割安販売も
宅配荷物を不在時でも自宅玄関前で受け取ることができる置き配バッグ「OKIPPA(オキッパ)」を展開するスタートアップ企業のYper(イーパー)は、居住者にOKIPPAを提供しているアパートやマンションの情報を専用ウェブサイトで紹介する新サービス「OKIPPA for不動産」を始める。宅配ボックスの代わりとしてOKIPPAを利用できる点をアピールして物件の魅力を高め、利用促進につなげるのが狙いだ。
Yperは不動産のオーナーや管理会社に対しても、新サービスを活用し、OKIPPAは初期費用や維持費、工事費用が掛からず各戸専用の宅配ボックスを導入するのと同様の環境を整備できるメリットを訴求していきたい考え。
Yperが5月27日、正式発表した。「OKIPPA for 不動産」は不動産管理会社が専用サイトにOKIPPA提供物件の情報を無料で登録する仕組み。不動産のオーナーが居住者に特典としてOKIPPAを提供する場合、Yperが戸数分のOKIPPAを割安で販売する。専用サイトを利用する不動産管理会社に対しても、入居者がOKIPPAを購入した数に応じて紹介手数料を支払う。
Yperは既に、賃貸住宅のオーナー向けに、住民へOKIPPAを割安で販売するとともに、OKIPPAが利用可能な物件として案内をサポートするサービスを展開している。今後は専用ウェブサイトを活用して入居希望者らがより情報を探しやすくなるようにし、OKIPPAのメリットを広くアピールしていくことを想定。2020年中に20万戸への導入を目指す。
OKIPPAは18年の取り扱い開始から累計で約15万個を販売。インターネット通販大手の楽天が置き配サービスにOKIPPAを採用するなど利用が進んでいる。新型コロナウイルスの感染拡大で外出を自粛する動きが広がり、ネット通販の需要が急増していることも普及を後押ししている。
国土交通省と経済産業省が共同で開催してきた、官民の関係者が置き配普及に向けた方策を協議する検討会で、消防法上もマンションやアパートの通路に緊急時の避難を妨げない少量の私物を暫定的に置く場合は問題にならないとの見解が示されており、Yperは盗まれないよう施錠できる点などセキュリティーにも配慮している面をアピールし、非対面での受け取りを希望する消費者のニーズを確実にとらえていく構えだ。
(藤原秀行)