経産省、基調判断を「急速に低下」に引き下げ
経済産業省が5月29日発表した4月の鉱工業生産指数速報値(2015年=100、季節調整済み)は、前月比9・1%低下し87・1だった。3カ月続けて前年水準を下回った。
指数算出の基準が異なるため単純に比較はできないが、リーマンショック直後の09年1月(8・8%)を超える大幅な落ち込みとなり、指数の水準自体も東日本大震災発生直後の87・3を下回った。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、国内外で工場の稼働が停止、商品や製品の需要も急速に落ち込んだのが打撃となった。経産省は生産の基調判断に関し、3月の「低下している」から、リーマンショック後の09年2月以来となる「急速に低下している」に引き下げた。
同時に公表した、メーカーの予測をまとめた製造工業生産予測調査によれば、5月は前月比4・1%低下、6月は3・9%上昇をそれぞれ見込んでいる。生産活動の不振から持ち直すのは6月以降との見方が多い。
4月の指数を15業種別に見ると、14業種が前月より低下。特に自動車工業の低下幅は33・3%、航空機用発動機などの輸送機械工業は25・0%、鉄鋼・非鉄金属工業は14・3%と低迷が際立った。
半導体製造装置などの生産用機械工業は2・5%上昇した。急激に落ち込んだ3月からの反動とみられる。
(藤原秀行)