官民協議会で検討、パレット化やIT活用による検品時間短縮など提唱
国土交通、経済産業、農林水産、厚生労働の4省は5月29日、物流センターでの長時間の積み卸し待機などが問題視されている4分野の物流ごとに、荷主企業と運送事業者が協力して取引環境とトラックドライバーの長時間労働の改善を図るガイドラインを公表した。
対象にしているのは加工食品、建設資材、紙・パルプの家庭紙と洋紙・板紙。いずれも官民の協議会で対策を協議してきた結果をまとめており、パレット化やIT活用による検品時間短縮などを提唱している。4分野のガイドラインの概要は次の通り。
【加工食品】
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課題:
・食品の製造日から賞味期限までを3分割し、食品メーカーは製造日から3分の1の時点までに小売店に納入するとの商習慣「3分の1ルール」や年月日まで細かく表記された賞味期限情報、統一されていない伝票情報の手入力などで検品の時間が長くなり、トラックドライバーの労働時間が長くなる要因に
・パレット化されずばら積みの商品が多い。パレット化されていてもパレットや段ボールのサイズがさまざまで、手積み・手卸しなどで長時間の荷役作業が発生
対応策:
・納品期限の緩和や賞味期限の年月表示化を推進
・QRコードの活用による検品時間短縮
・パレットや外装のサイズ統一と外装表示の標準化
【建設資材】
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課題:
・非常に多くの下請け業者にひも付いた建設資材が工事の進捗状況に応じて搬入。天候や道路事情などで当初の搬入計画通りに運用が進まなくなると、限られた荷卸しスペースにトラックが集中、荷待ち時間が発生
・建設資材は多品種かつ邸別・部屋別など物件ごとに搬入される製品が異なるため、出荷・納品時の作業が複雑化かつ長時間になる傾向。ICTの活用も進んでいない
対応策:
・発注期限順守促進へ元請け業者と下請け業者の連携による情報共有
・ドライバーが付帯作業をする場合は書面で料金を課すようルール化
・複数の建設資材メーカーや卸、ユーザーが一貫して活用できる仕様などを標準化したコード体系の導入
・検品作業の電子化
【紙・パルプ(家庭紙)】
ガイドラインはコチラから(A3判)
課題:
・製品の単価が安く、メーカーと卸売業者の間の幹線輸送で新たな設備投資コストを価格に転嫁しづらい
・製品がかさばるため、規模の小さな小売店舗は在庫を持てず、日々必要数量を配送する少量多頻度納品。単価が安い=運賃が安いことと相まって運送事業者の経営を圧迫
対応策:
・手積み・手卸し解消へパレット化
・予約受付システムの運用
・繁閑差の平準化へ着荷主の発注見込み量を把握した上で発着荷主が納品計画を協議
・物流への負荷が少ないコンパクト製品への切り替えをサプライチェーン全体で実施
・小売店舗の駐車場の共同利用や商店街の共同集配送など、先進事例を参考に都市内物流の納品環境改善を実施
【紙・パルプ(洋紙・板紙)】
ガイドラインはコチラから(A3判)
課題:
・紙は技術開発の要素が少なく、他社との商品による差別化が難しいため、商品以外のリードタイムや納品方法などの部分で競争。その結果、不十分なリードタイムでの発注や少量多頻度納品などの商習慣が定着、運送事業者やドライバーの負担増に
対応策:
・リードタイムの確保(発着荷主の受発注プロセス共有化など)
・少量多頻度納品の効率化(物量平準化、共同輸送など)
・荷待ち時間削減(予約受付システムの運用など)
・付帯作業の軽減(契約書面に付帯作業の内容や実施者など明記)
・繁閑差の平準化
(藤原秀行)