改正外為法の投資規制強化、物流企業含め運用の透明性に疑念消えず

改正外為法の投資規制強化、物流企業含め運用の透明性に疑念消えず

重要技術・情報の海外流出防止狙いも、個々の選定理由開示されず

改正外為法で強化した外国投資家による日本企業への投資規制が6月7日、全面適用された。外国投資家が1%以上の株式を取得する際、政府への事前届け出を義務付けているのが柱。国の安全保障に関わる重要な技術や情報の海外流出を防ぐのが狙いだ。

上場企業のうち、航空機や宇宙、サイバーセキュリティー、電力、ガスなど12分野につながりがある企業を、重要な技術や情報の流出が起これば国の安全を脅かす恐れが高い「コア業種」に選定。政府が重点的に審査する方針を打ち出している。

財務省が5月8日に初めて事前審査が必要な企業のリストを公表した際、コア業種に分類されていたのは518社だった。同省が上場全企業に事業内容を照会したのに対する回答結果や、定款や有価証券報告書の内容を基に指定した。

その後、企業から追加で寄せられた回答などを踏まえ、内容を見直したリストを6月5日にあらためて開示、コア業種は558社に増加した。コア業種ほど厳格ではないが事前の届け出を定めているのは1553社だった。コア業種に名を連ねている物流関連企業はヤマトホールディングス、日立物流、澁澤倉庫、関通、櫻島埠頭、名港海運の6社となっている。

ただ、財務省は個々の企業に関して事前審査が必要と判断した詳細な理由を明らかにしていない。最も投資家の関心が集まるコア業種についても、自動車や精密機器などの大手メーカーや商社が加わっているのは自然だが、同じ業種の中でも代表的な企業でリストに入っているところと入っていないところに分かれているケースが見られる。

さらに飲食物の配達代行を担う出前館、スーパー銭湯を手掛ける極楽湯ホールディングス、球場やアトラクション施設を運営する東京ドームといった、一見すると国の安全保障に影響するほどの重要情報を扱っているようには思えない企業がコア業種に加わっているため、投資家からは改正外為法運用の透明性に対して疑問の声が挙がっている。

物流関連企業のコア業種選定結果を見ても、なぜ宅配大手からヤマトホールディングスが選ばれてSGホールディングスや日本郵政が入っていないのか、倉庫業で準大手の澁澤倉庫だけが選定されている理由は何なのか、今年3月に東証マザーズへ上場したばかりの関通が含まれている背景は何か、といった疑問が次々に浮かんでくる。

国の安全保障を守るという目的自体は理解できるだけに、今後はより説得力のある規制運営に修正していくことが強く求められそうだ。

(藤原秀行)

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