【独自取材】オプティマインド・松下社長、AI活用のラストワンマイル配送最適化でアジア展開視野

【独自取材】オプティマインド・松下社長、AI活用のラストワンマイル配送最適化でアジア展開視野

まず「国内ナンバーワン」達成が目標

AI(人工知能)を活用したラストワンマイルの配送経路最適化サービス「Loogia(ルージア)」を手掛けるスタートアップ企業、オプティマインド(名古屋市)の松下健社長は6月15日、日本郵便やCBclooudと共同でゆうパックなどの配達業務支援システムの試験導入に関する記者会見を行った後、ロジビズ・オンラインの取材に応じた。

松下社長は、最適な経路を計算するアルゴリズムの精度をより高め、ラストワンマイルの配送効率化に一層貢献していく決意を表明。この分野の配送経路最適化に関して日本のナンバーワンを目指す姿勢を強調した。また、日本と併せてアジアでも配送効率化の需要が期待できるとして、サービスの海外展開を視野に入れていることを明らかにした。


記者会見に臨んだ後、撮影に応じる松下社長(左)。中央は日本郵便の三苫倫理執行役員、右はCBcloudの松本隆一代表取締役CEO(最高経営責任者)※クリックで拡大/span>

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「BtoBでも生かせる余地は大きい」

オプティマインドは2015年6月、名古屋大に在籍していた松下社長らを中心に設立。高性能なアルゴリズムを評価してトヨタ自動車やKDDI、三菱商事、寺田倉庫などが出資しており、「ルート最適化で街を支えるインフラ企業」を目指すべき姿に掲げ、ルージアを展開している。

ルージアは走行時間だけでなく配送先の時間指定や道路事情など30以上の制約条件を考慮し、個々の現場に即した最適化を実現するのに加え、AIが実際にトラックの走ったルートのビッグデータを学習、精度を自ら向上させていくのが大きな特徴。宅配事業者や酒・食品卸、日雑卸などの間で利用が広がっている。

松下社長は、経路最適化のアルゴリズムに関し「国内を代表する精度レベルでラストワンマイルに特化した最適化を実現できている」と自信を示した。また、クラウドベースで個々の事業者にルージアのサービスを提供するのと並行し、大手企業向けにはさまざまなシステムとアルゴリズムを連携させて機能を共有する「API連携」にも注力していく方針を説明。

「2つの形態で当社のアルゴリズムをお使いいただくことで、誰でも配送がすぐにできるようになる環境をより広めていきたい」と語った。また、「ラストワンマイルに特化しているので幹線輸送は対象外だが、BtoCだけでなくコンビニへのルート配送といったBtoBの分野でもわれわれのアルゴリズムを生かせる余地は大きい。既にご活用いただいている事例もある」と指摘、多様な業界の配送効率化に貢献できるとの考えを強調した。


ルージアの専用ウェブサイト※クリックで拡大

日本郵便やCBcloudと連携した点については、ルージアを活用することで配送経路の継続的な改善が可能になるため、将来はルージアを基に配送することが当たり前になるとの姿を想定。「配送時間の予測などはルージアに任せ、ドライバーの方々が安全に運転し、サービスレベルを高める本来の使命に専念できるようになる」と意義をアピールした。

今後の展開については、業績目標などについては言及を避けたが、「配車なども含めた配送業務全般にわたる効率化支援サービスを手掛けておられる企業は数多くあるが、当社はその中でもラストワンマイルの配送経路最適化という部分で、日本でナンバーワンの存在になりたい」との目標を明らかにした。

また、オプティマインドが「世界のラストワンマイルを最適化する」との壮大なスローガンを掲げていることに触れ、「日本で地位をしっかりと確立した上で海外展開も考えていきたい。アジアは都市部で道路が複雑に入り組んでいるところが多いことなどから、当社の経路最適化へのニーズは十分見込まれると思う」と説明。数年後には東南アジアでサービスを提供していきたいとの思いをのぞかせた。

(藤原秀行)

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