【独自取材】神奈川でも“不適合免震”の物流施設2件が判明

【独自取材】神奈川でも“不適合免震”の物流施設2件が判明

KYBデータ改ざん問題、5都県1市で確認

 油圧機器大手KYBと子会社のカヤバシステムマシナリー(KSM)が建築物用の免震・制振装置に関する性能検査記録データを改ざんし、国の基準や顧客との契約内容に適合しない装置を出荷していた問題で、新たに神奈川県でも当該の免震装置との疑いがあるものが物流施設に2件使われていることが、10月22日までに明らかになった。他の用途で使われている建物を含めると、同県では免震・制震装置の合計で71件に上っている。

 KYBは不適合の製品に関し、改ざんの有無を調査中のものを含めて全国のマンションやオフィスビル、病院、庁舎など延べ987件に免震・制振装置を設置したと説明。このうち、物流施設は免震装置が22件だが、都道府県別の内訳はいまだ明らかにしておらず、具体的な名称など個々の施設の情報も、所有者らの了承を得られていないことを理由に一切開示していない。

 ロジビズ・オンラインが調査した結果、22日午前の時点で東京、神奈川、埼玉、千葉、愛知の5都県と神戸市が当該の免震装置を用いている物流施設の数を公表しており、改ざんがあったかどうか調査中のものを含めると計19件に達している。

 KYBとKSMが19日に記者会見して明らかにしたところによれば、先の987件とは別に、国の認定基準内で数値を改ざんしたものが108件あった。

 納入した施設の具体名が明らかになったのは現時点で、所有者の了承を得られた全国の庁舎など公的施設70件のみで、全体の1割にも達していない。民間施設に関しては、両社の確認作業が進んでおらず、相当時間を要するとみられる。

 さらに、不適合の免震・制振装置に使われていたオイルダンパーは1千本を超えている。KYBとKSMは全てを交換すると説明しているが、関係者からは作業を完了するには最低でも2年は掛かるとの見方も出ており、混乱は長期化が必至だ。

(藤原秀行)

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