海外と物資融通のための経済安全保障ルールづくりも
政府は7月17日、臨時の持ち回り閣議を開き、2021年度予算編成の基本方針「経済財政運営と改革の基本方針2020」(骨太の方針)を決定した。
新型コロナウイルスの感染拡大で特定国・地域に依存していたサプライチェーンの脆弱さが表面化したと指摘。「生産拠点の集中度が高いものなどについて、国内外でサプライチェーンの多元化・強靭化を進める」と表明した。
併せて、データや新技術も活用した物流の効率性・安全性向上に資する施策を加速させる姿勢を打ち出した。
安倍晋三首相は同日、閣議決定に先立って首相官邸で開いた経済財政諮問会議と未来投資会議の合同会合で「世界が新型コロナウイルス流行というまさに歴史的な危機に直面する中で、わが国として、思い切った社会変革を果敢に実行することによって、自ら未来を切り拓いていく。そうした強い意志を持った未来志向の方針としており、副題も危機の克服、そして新しい未来へ、と設定した。国民の皆さまと力を合わせ、この困難を乗り越え、未来を見据えて進んでいく。そのためにも、この方針を着実に実行していきたい」と強調した。
骨太の方針はこのほか、
・価値観を共有する国々との物資の融通のための経済安全保障のルールづくり
・道路や港湾など生産性向上に直結する社会資本の重点的な整備
・企業間連携を含めた海運・製造業など海事産業の競争力強化
――などを盛り込んだ。
サプライチェーン変革を含む「新たな世界秩序の下での活力ある日本経済の実現」に向け、柱となる主要施策について年内に実行計画を取りまとめる方針を示した。
骨太の方針に関しては、九州地方などの豪雨被害を受け、与党が災害対応を強化するよう要請したのに伴い、防災・減災や国土強純化に関する記述を拡充した。
(藤原秀行)
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