労使対立で引き上げ幅目安を11年ぶりに示せず
厚生労働省の「中央最低賃金審議会」(厚労相の諮問機関)の小委員会は7月22日、2020年度の地域別最低賃金(時給)に関する答申をまとめた。
最大の焦点だった引き上げ幅に関しては「現行水準を維持することが適当」との見解を表明、具体的な金額の目安を示すことを見送った。新型コロナウイルスの感染拡大で経済情勢が悪化している点に配慮した。
目安を示さなかったのはリーマンショック後の09年度以来、11年ぶり。各都道府県は小委員会の答申内容を基に、8月下旬までに各地域の最低賃金を設定、10月ごろから適用する見通しだが、大幅な引き上げは難しい情勢だ。
今年の審議では労働側の委員が賃上げの傾向を維持して経済に好影響を与える必要があるとの立場から引き上げを求めたのに対し、経営側の委員は新型コロナウイルス感染拡大で経営が厳しい中、賃上げより雇用維持を最優先にすべきだと主張、議論は完全に平行線をたどった。小委員会は7月20日から大詰めの議論に入ったが合意には至らず、22日にようやく答申までこぎ着けた。
答申は21年度の審議に関し「さらなる引き上げを目指すことが社会的に求められている点も踏まえ、議論を行うことが適当」と指摘した。
(藤原秀行)