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【独自取材】汎用性求められるマルチ型物流施設で将来の機械化・省人化考慮した設計採用を検討

【独自取材】汎用性求められるマルチ型物流施設で将来の機械化・省人化考慮した設計採用を検討

大和ハウス工業、千葉で開発予定の大型案件に反映視野

大和ハウス工業は、今後首都圏で開発を本格化させる大規模なマルチテナント型物流施設で、あらかじめ将来の機械化・省人化をある程度織り込んだ設計を採用することを検討している。人手不足に加え、新型コロナウイルスの感染拡大で物流施設も庫内作業スタッフが密集する環境を回避することが強く求められており、AGV(無人搬送車)などの活用が一層進むと見込まれることが背景にある。

同社で物流施設開発の陣頭指揮を執る浦川竜哉取締役常務執行役員がこのほど、ロジビズ・オンラインの取材に対して明らかにした。従来の汎用的な設計にとどまらず、開発プロジェクトを進めるに当たってテナント候補の企業の意見も十分聞きながら、より多くのAGVがフロア内を稼働できるよう柱の間隔を広めに確保するといったことを視野に入れていくもようだ。現時点では千葉で今後本格的に開発を進めていく大型案件の設計に反映することを目指しているという。

専用施設としてテナント企業の意見を最大限反映させるBTS型の物流施設に加え、多様な荷主企業や物流企業が利用する可能性のあるマルチテナント型の物流施設でも機械化・省人化対応をより踏み込んで進めることで、人手不足に悩む物流企業などのニーズを受け止めたい考えだ。

大和ハウス工業、20~24年度にマルチテナント物流施設68棟の完成見込む

「DPL事業計画リスト」(2020年7月末時点、大和ハウス工業資料を基にロジビズ・オンライン編集部作成)


千葉県市川市のナイキ物流拠点「The DUNK」で大和ハウス傘下のアッカ・インターナショナルが運営しているギークプラス製ロボット「EVE」

「作り手側の論理で進める開発手法の限界を崩したい」

一般的なマルチテナント型物流施設は幅広い業種からのニーズに応えられるよう機能面で一定程度の汎用性が求められる上、建設コストとの兼ね合いなどの問題もあり、天井までの高さや床の耐荷重など建物のスペックが標準的な内容となることが多い。

大和ハウスはBTS型とマルチテナント型の開発の比率を延べ床面積ベースで7対3程度を目安として開発を進めてきたが、最近はEC事業者らのニーズが大きいマルチテナント型により注力する方針を見せている。同社は2020~24年度の5年間に全国でマルチテナント型物流施設68棟の完成を見込んでいる。

同業他社との競争が激しい中、マルチテナント型物流施設の価値向上のため、これまでにもスタートアップ企業と連携し、テナント企業のAGV(無人搬送車)導入支援などを手掛けており、さらに建物のハード自体でも、より自動化・省人化を促進していけるような工夫を凝らしていくことを目指している。

既に首都圏で開発している大型物流施設に関し、1フロアの面積を広く取り、AGVがより自由に動き回ることができるようにすることなどを検討してきた。新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、テナント候補企業の意向を踏まえながら、庫内作業スタッフが密集するのを回避しつつ機械化・省人化をうまく進められる施設の在り方を社内で議論しているという。

将来のロボット導入を見越して床荷重を標準的な1平方メートル当たり1・5トンからさらに強化したり、大容量の電力を供給できるよう備えたり、ロボットが円滑にフロア内を行き来しやすいレイアウトにしたりといったことを念頭に置いているもようだ。建設会社として自ら物流施設などの事業用施設の建設を数多く手掛けて蓄積してきた経験に加え、グループに準大手ゼネコンのフジタを抱えているというメリットも生かし、建築コストが高騰しないよう、機能拡充とのバランスを取ることも重視していく方向だ。

浦川取締役は「まだまだ私の頭の中にはアイデアがあるが具体化はこれから、という段階。特に利用されるお客さまの顔が開発当初から明確に見えているわけではないマルチテナント型施設は、どうしても作り手側の論理で作っていくことになる。そうした開発の進め方の限界を崩し、自動化や機械化のご要望へ的確に応えていきたい。今はそうした新しいことを進めていかないといけない時代だと思っている」と持論を展開している。

(藤原秀行)

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