モーリシャス首相が貨物船座礁「日本の責任と考えず」と言明、賠償には言及せず

モーリシャス首相が貨物船座礁「日本の責任と考えず」と言明、賠償には言及せず

茂木外相と電話会談、国際緊急援助隊派遣に謝意

茂木敏充外相は9月7日、モーリシャスのプラヴィン・クマール・ジャグナット首相と電話で会談した。

外務省によれば、茂木外相はモーリシャス島沖合で発生した貨物船座礁事故に関し「日本政府としても重く受け止めている」と強調。周辺海域に流出した燃料油の回収などのために専門家の派遣を継続する方針を説明した。

その上で、「モーリシャスの今後の復旧と復興のための課題は、環境の回復や経済・社会の幅広い分野に及ぶものと認識している。この観点から今後、迅速かつ中長期的な視点で協力を進めたい」と説明。事故再発防止のための海上航行安全システム導入、漁業者らの生計回復のための支援などを早急に進めたいとの意向を示した。

ジャグナット首相は、国際緊急援助隊派遣など日本側の協力へ謝意を表すとともに、座礁事故に関しては「日本の責任と考えていない」と述べた。今後も環境の回復に加えて新型コロナウイルスの感染拡大で影響を受けているモーリシャス経済の立て直しに向け、日本の援助に期待を表明した。

事故の損害賠償請求に関しては言及がなかったようだが、同首相の発言は賠償を求める対象が国際条約に基づけば船舶の所有者であり、日本政府ではないとの見解を明確に示す狙いがあったとみられる。

(藤原秀行)

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