国交省、建設工事受注動態統計でデータを無断書き換え

国交省、建設工事受注動態統計でデータを無断書き換え

「二重計上」で実態より上振れの可能性も、統計法違反の疑い

国土交通省が、建設業の工事受注動向を示す「建設工事受注動態統計」で、民間の事業者が提出したデータを不適切に集計していたことが分かった。

国交省がデータの回収を担当している都道府県に対し、回答している民間事業者に無断でデータを書き換えさせていた。同一事業者の受注実績を二重に計上したケースもあり、統計の数値自体が実態より上振れしていた可能性があるとみられる。

 
 

斉藤鉄夫国土交通相は12月15日、不適切行為を伝えた朝日新聞の報道を受け、衆議院予算委員会で問題を認め陳謝。岸田文雄首相も「大変遺憾だ」と答弁し、再発防止に努める意向を示した。

同統計は国内総生産(GDP)の算出にも使われ、国の重要な基幹統計に位置付けられている。データの書き換えや二重計上は、統計の公平性・正確性担保を義務付ける統計法に違反している疑いがある。

不適切な集計は、同統計の算出手法を見直した2013年度から始まり、21年4月に再度手法を修正するまで続いていたもよう。関係者によると、民間事業者の回答が遅れ、数カ月分のデータをまとめて提出した場合、数カ月分のデータを合計した数値を最新の月1カ月分のデータとして扱っていたとみられる。

統計の不適切な集計は中小企業支援など国の政策判断をゆがめ、国民生活に不利益をもたらす恐れが大きいだけに、国交省自身による真相究明と報告が強く求められる。

(藤原秀行)

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