通期は営業努力などで黒字確保見込む
JR貨物の永田浩一取締役兼常務執行役員(経営統括本部長)は10月30日、東京・霞が関の国土交通省内で行った2018年9月中間決算の説明記者会見で、大阪府の北部地震や台風21号、北海道胆振東部地震など一連の災害の影響として、上期(4~9月)は102億円の減収につながったことを明らかにした。山陽線などの貨物輸送運休本数は計5007本に上った。
中間期全体で見ても、売上高に相当する営業収益は災害被害への保険金支払いなどの40億円で補い切れず、連結ベースで前年同期比5・9%減の880億円に落ち込んだ。7月の西日本豪雨への対応に伴う費用21億円を特別損失に計上した。
通期(19年3月期)も災害の影響などで減収を強いられるものの、モーダルシフト需要取り込みの営業活動に引き続き注力することなどで黒字を確保する計画。
永田氏は「代行輸送や迂回輸送などで信頼回復に努めてきたつもりだが、お客さまはすぐには戻ってこない。第3四半期(10~12月)は少し厳しいが、第4四半期(19年1~3月)は何とか全部戻ってきてもらいたい」と語った。
また、保険金の支払いを受けたのに伴い、19年度から3年ほどは掛け金が上がることが収益に影響するとの見通しを示した。
10月に基本運賃を10%引き上げたことに関しては「災害で長期運休した後の値上げなのでお客さまの反応は厳しいが、中にはご理解いただいているところもある」と説明した。
会見に同席した花岡俊樹執行役員財務部長は「鉄道輸送単体の黒字は今期に関しては非常に厳しいかなと思う」と予測。第3四半期に関しても、運休分による影響が12億~13億出ていると明らかにした。
同時に「四半期ごとに収益を見ると、災害が多かった第2四半期は厳しかったが、それ以外の第1、3、4四半期は赤字になることはない」と述べた。
(藤原秀行)
決算会見に臨む永田氏