【独自取材、動画】「あらゆる物流テックが分かる場所にしたい」

【独自取材、動画】「あらゆる物流テックが分かる場所にしたい」

TRCと三菱地所、無人・非対面のマッチング可能な新形態ショールームを公開

物流施設の管理などを担う東京流通センター(TRC)と三菱地所はこのほど、東京都大田区平和島でTRCが運営している「東京流通センター」内に新設したショールーム「TRC LODGE(ロッジ)」をロジビズ・オンラインに公開した。

ショールームは10月1日にオープンした。保管・荷役~仕分け・ピッキング~包装・流通加工~配送~運営・管理・コンサルティングと、物流の上流から下流への各工程に沿って業務効率化を後押しする先進技術「物流テック」を展示しており、来場者が関心を持っている領域にすぐたどり着けるよう配慮しているのが特徴だ。

電話やメールのやり取りをしなくても専用ウェブサイトで登録すれば来場可能。さらにショールーム内はTRCや三菱地所のスタッフが常駐せず、設置しているタブレット端末を用いて自分のペースで各技術の概要をつかめる流れにしており、気軽に来場してもらえる雰囲気を醸し出すことに努めている。

両社は「物流業界などの方々にとって、ここを訪れればあらゆる物流テックがお分かりいただけるような場所にしたい」と狙いを説明している。


物流テックの展示ゾーン

タブレット端末で技術の概要把握やコンタクトが可能

ショールームの「LODGE」は、小屋を意味する「LODGE」と物流の「LOGISTICS」がともに丸太が積み上がる様子を意味する「LOG」が語源との説があることに着目し、次々に物流企業が集まってロジスティクスに関する多様な情報が積み上がる場所になることを願って命名した。

ショールームは「物流テック展示ゾーン」と出展企業限定の「セミナー&コワーキングスペース」、「実験用タイムシェア倉庫」の3つのゾーンから成る。展示ゾーンとコワーキングスペースは東京流通センターの「センタービル」、タイムシェア倉庫は物流施設の「物流ビルB棟」にそれぞれ構えている。展示ゾーンは事前にウェブサイトで来場を予約した際、発行されるQRコードをエントランスのリーダーにかざせば受付が完了する。

現在、工程ごとに計9社の物流テックをパネルとタブレット端末で案内しており、コンタクトを取りたい企業があれば、ブースのリーダーに同じくQRコードを読み取らせることで、そのまま来場者の情報が出展企業側に自動で直接届く仕掛けとなっている。


受け付けを簡略化したエントランス。リーダーにQRコードをかざす(下)


工程ごとにまとめられた展示ゾーン

展示中の物流テックは、在庫管理を完全自動化するIoT(モノのインターネット)従量計、音声業務ソリューション、採寸・計量自動化システム、入出荷予約受付サービスなど多岐にわたる。物流施設などの各種設備を人間に代わって超小型ドローン(無人飛行機)で点検するサービスも登場しており、TRCと三菱地所は今後さらに出展企業を増やし、ラインアップを拡充したい考えだ。


展示の9社一覧(TRC、三菱地所プレスリリースより引用)


タブレット端末で技術の概要を閲覧


超小型ドローンの実物を展示


フロアは倉庫のような雰囲気


窓からは2021年に建て替え工事が始まる予定の「物流ビルA棟」が見える

セミナー&コワーキングスペースは展示ゾーンと廊下を挟んだ隣に位置し、出展企業限定で利用できる。貸し切って来場者らを対象としたセミナーを開催したり、営業の拠点として使ったり、出展企業間で協業を検討する場にしたりとさまざまな使い方を想定。商品を納めた段ボールのような椅子をそろえるなど、ユニークなデザインの空間だ。

実験用タイムシェア倉庫は同じく出展企業限定で、最短1時間から借りられるよう設定。物流テックの実証実験を行ったり、デモスペースとして使ったりとさまざまな用途に対応する予定だ。


セミナー&コワーキングスペース


ユニークなデザインの椅子

ショールーム開設に携わったTRC経営企画部企画一課兼A棟再開発室の宮本真栄係長は「50年以上にわたって物流施設や展示場の運営を担ってきた当社の経験を生かし、無人・非対面で物流業界と出展企業をマッチングできる新たな展示の形を提案したい」と説明。

三菱地所DX推進部の石井謙一郎主事は「日常の課題解決に貢献できる物流テックをご紹介し、大企業に加えて中堅・中小企業の方々にもお役立ていただけるようなショールームを目指している。出展企業間の協業を促進し、さらに新たな物流テックにつながるような仕掛けも施そうと考えている」と物流領域の生産性向上や省人化を後押しすることに強い意欲を示している。

(藤原秀行)

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