政府の過労死白書、「エッセンシャルワーカー」の負担増浮き彫りに
政府は10月30日の閣議で、過労死・過労自殺の現状や対策の実施状況などをまとめた2020年版の「過労死等防止対策白書」を決定した。
新型コロナウイルスの感染拡大への対応状況を調査した結果、運輸・郵便業や医療・福祉の分野で3~4月は長時間就労した人の割合が前年同期より増加傾向にあったことが判明。感染禍でも業務を中断できない物流や医療などの「エッセンシャルワーカー」の負担が増加している実態が浮き彫りとなった。
白書は今年が5回目の公表。総務省の労働力調査を基に、新型コロナウイルスの感染が広がった3~5月に、月末1週間の就業時間が80時間を超えた就業者の割合を見たところ、運輸・郵便業は3月が2・01%で19年の1・78%から増加。4月も1・71%で、前年同期の1・49%を上回った。5月は1・39%で、前年同期の1・42%から小幅ながら減少した。ただ、運輸・郵便業に関しては、3~5月のいずれも全産業平均を大きく上回っている。
医療・福祉も3月は0・68%(前年同期0・60%)、4月は0・58%(同0・48%)となった。5月は0・59%(同0・60%)でほぼ横ばいだった。
過労死も懸念される長時間労働だけに、物流や医療などのエッセンシャルワーカーへの対策が喫緊の課題となっている。
(藤原秀行)