8カ月ぶりに30台、回復基調持続するか見極めが依然必要か
帝国データバンク(TDB)が11月5日発表した10月の景気動向調査結果によると、景況感を示す業種別の景気DIは「運輸・倉庫」が30・1となり、9月の前回調査から2・0ポイント上がった。4カ月連続で前月から改善し、直近では今年2月以来、8カ月ぶりに30台まで回復した。
新型コロナウイルスの感染拡大で大きく悪化した景況感が、経済活動の再開に伴い、改善傾向を見せていることを示した。ただ、水準自体は景況感の分かれ目となる50から大きく遠ざかっている状況が続いている。回復基調が持続していくかどうか、コロナ禍の動静と併せて、今後もしばらく見極めていく必要がありそうだ。
全業種ベースの景気DIは、9月から2・2ポイント上がって33・8だった。5カ月続けて上昇した。TDBは全体の先行きについて「コロナ感染拡大防止と経済活動再開のバランスに慎重に対応しながら、緩やかに上向いていくとみられる」と展望、9月からより前向きな見方に修正した。10業界中9業界、51業種中46業種でDIが9月からプラスとなっている。
運輸・倉庫業のコメントでは、現状に関し「自動車の生産台数が増加し部品の輸送量が増えた」(一般貨物自動車運送)、「周辺の倉庫はほぼ満倉状態」(普通倉庫)といった前向きな声が聞かれた。
先行きに対しても「しばらく高い国際宅配ニーズが維持できると見込む」(運送取次)、「少しずつ貨物の動きが良くなっている傾向が顧客によっては表れており、拡大に期待している」(港湾運送)などの明るい見方がある半面、「公共工事にかかわる運送受注減を見込んでいる」(一般貨物自動車運送)との慎重な予想も見られた。
調査は10月19~31日にインターネット経由で実施、全国の1万1448社が有効回答を寄せた。回答率は48・3%。運輸・倉庫業は497社が調査に協力した。
(藤原秀行)