港湾の完全電子化へ官民委員会が初会合

港湾の完全電子化へ官民委員会が初会合

2020年までの関連データ連携基盤構築目指す

 内閣官房と国土交通省は11月2日、港湾の諸業務を完全電子化する「サイバーポート」実現に向けた取り組みを加速するため、有識者や関係省庁幹部らで構成する委員会(座長・村井純慶応義塾大教授)の初会合を東京・霞が関で開催した。

 政府が今年6月に閣議決定した「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」では、物流の生産性改善と国際競争力向上を図ることを目的に、港湾の完全電子化と港湾関連データ連携基盤の実現をうたっている。

 委員会には港湾運営会社や船舶・物流の業界団体、荷主代表、港湾管理自治体などの関係者が参加。

 2020年までに官民の各種データを一元的に管理できる連携基盤構築を目指し、会合ではワーキンググループ(WG)で港湾や貿易に関する手続きを電子化する上での課題と検討すべき項目などを整理、協議していくことを確認した。

 WGは今年12月から議論を本格化し、来年3月開催予定の第2回委員会会合に検討結果を報告する。

関連データ連携基盤の“ガラパゴス化”回避求める声も

 会合の冒頭、平井卓也科学技術相はビデオメッセージを寄せ、「デジタル化は目的ではなく、あくまで港湾全体の生産性を上げる手段」と指摘、港湾の電子化を通じた物流全体の生産性向上を後押しする重要性を強調した。

 村井座長は「官民の関係者が それぞれの視点から力を合わせて進めていく大きなタイミングだと思う」と語り、立場を超えた積極的な議論と検討を求めた。

 出席者からは、連携基盤構築で単に省力化を進めるのではなく高度な付加価値を生み出すことが重要との指摘が出たほか、中小事業者へのコスト面などでの配慮やデータ連携基盤の“ガラパゴス化”回避、決済の電子化検討などを要望する声が出た。

 既に稼働しているNACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)との整合性を取るよう求める向きもあった。

 国交省の下司弘之港湾局長は会合の議論を踏まえ、「このテーマは、総論は皆さん賛成していただけるが、各論になるとハードルが高く、なかなか前に行かない。ハードルを乗り越えるために、本質的な部分が何なのか、これからヒアリングを続け、対策を考え提案させていただきたい」と決意を表明した。

 会合はタブレット端末を用いてペーパーレスで進められた。

(藤原秀行)


ペーパーレスで進められた委員会の初会合

冒頭に流された平井科学技術相のビデオメッセージ

政策カテゴリの最新記事