【動画】プロに見せたい物流拠点(特別編)三菱商事ロボット導入支援サービスの“縁の下の力持ち”

【動画】プロに見せたい物流拠点(特別編)三菱商事ロボット導入支援サービスの“縁の下の力持ち”

MCLOGI京浜事業所、実際のオペレーションに投入し知見蓄積

三菱商事はこのほど、横浜市鶴見区で物流現場向けロボットを導入している三菱商事ロジスティクス(MCLOGI)の物流拠点「京浜事業所」をロジビズ・オンラインに公開した。

三菱商事は物流現場の自動化・省人化を後押しするため、今年4月にMCLOGIと連携して物流ロボットを月額料金の従量制で貸し出す「Roboware(ロボウェア)」を開始した。その前段として、サービスで取り扱っている物流ロボットを実際に京浜事業所のオペレーションに投入、約1年にわたり効果を見極めてきた経緯がある。

同事業所では現在も入出庫業務にロボットを活用しており、BtoCの領域に加えて店舗に商品を供給するBtoBの領域でも活躍しているという。さらに、ロボウェアで新たに採用を決めた中国製のピッキング支援ロボットに関しても、同事業所内で庫内を模した実験場を設置、繰り返し性能を確かめた上でラインアップへの追加にこぎ着けている。

いずれも同事業所の実地で得られた知見をロボウェアにフィードバックしており、まさに三菱商事が目指す物流現場の変革を支える“縁の下の力持ち”的な拠点だ。プロに見せたい物流拠点の特別編として紹介する。


MCLOGI京浜事業所

「複数拠点で効率運用」ノウハウ蓄積も狙う

京浜事業所では現在、MCLOGIが請け負っているファッション雑貨の入出庫業務で、インド発祥のロボットベンチャー、GreyOrange(グレイオレンジ)製の「Ranger(レンジャー)GTP」(旧名Butler=バトラー=)が45台稼働している。

レンジャーGTPは商品を収納した専用棚の下に潜り込んで持ち上げ、入出荷作業エリアまで運ぶタイプのロボット。スタッフが庫内を歩き回らずにすむため、大幅な作業負荷軽減と生産性向上につながると期待されている。京浜事業所では約400基の専用棚を設置しており、レンジャーGTPが店舗向けとEC向けの両方の入出荷を日々大きな混乱もなくこなしている。

業務量の拡大に応じてレンジャーGTPを随時増やしていくオペレーションも行い、取り扱う商品量の波動を踏まえて適正な台数をその都度確保することでコストを変動費化できると確認。ロボウェアの基幹を成す考え方として受け継がれている。

ロボウェアを手掛けている三菱商事物流開発部の櫻井慎悟プロジェクトマネージャーは「当社はMCLOGIという物流現場を持っていることがロボウェアを展開していく上で非常に大きな強みとなっている。積み重ねてきた経験を有効活用できる」と解説する。

現在は約2100平方メートルの利用フロアをさらに広げることを検討しているほか、京浜事業所以外のMCLOGI拠点に横展開していくことも構想している。MCLOGIの中谷徳志常務執行役員は「複数の拠点でロボットを効率的に運用するノウハウとして蓄積し、ロボウェアに反映できる」と見込む。

新型コロナウイルスの感染拡大で対面の説明会開催が難しくなっているため、ウェビナー形式でオンライン視察会を毎週開催。三菱商事物流開発部の中村遼太郎マネージャーは「毎回100人くらいの方々に視聴いただいている。ロボット活用への関心と期待が高いことを肌身で感じている」と手ごたえを語る。


45台のレンジャーGTPが稼働し、約400基の専用棚が並ぶフロア※クリックで拡大


モニターで指示された棚の場所に商品を納めれば入荷完了


櫻井氏


MCLOGI・中谷氏

新たなロボットの実験場も設置

ロボウェアでレンジャーGTPに続く第2弾のロボットとして採用したのが、中国の新興ロボットメーカー、シリウスロボティクスのAI(人工知能)を搭載した協働型ロボット(AMR)「FlexComet(フレックスコメット)」だ。WMS(倉庫管理システム)のデータとリンクし、ピッキング対象の商品が収められた棚へ自律移動して作業スタッフを誘導。コンテナに商品を入れると、次のオーダーがあった商品が入っている棚へ再び動いていく。新人のスタッフでも効率的にピッキングできるのが特徴だ。

Wi-Fi環境とSIMカードを用意すればすぐに使用を開始可能。京浜事業所では、庫内を模した試験場に複数台を導入してオペレーションを試行し、導入の際に庫内のレイアウトを大幅に変えなくても容易に稼働を始められる効果を確認した。

レンジャーGTPは比較的大規模な施設での運用に向いている一方、フレックスコメットは中堅・中小規模のEC事業者らにとって使いやすい仕様となっている。三菱商事物流事業部の中西心紀マネージャーは「お客様の多様なニーズに応えていくためにも、ラインアップの豊富さにはこだわっていきたい」と強調。現在は第3弾の自動化機器についても同事業所内でトライアルを重ねている。


フレックスコメット※クリックで拡大


ピッキング対象の商品がある場所へ人間を導く※クリックで拡大


画面にピッキング対象の商品などの情報を表示※クリックで拡大


今年2月の国際物流総合展にもレンジャーGTPやフレックスコメットを出展、注目を集めた(この写真は三菱商事提供・クリックで拡大)


中村氏


中西氏

(藤原秀行)

テクノロジー/製品カテゴリの最新記事