売上高物流コスト比率調査、20年度は14年ぶり5%台まで上昇

売上高物流コスト比率調査、20年度は14年ぶり5%台まで上昇

JILS速報、過去20年で2番目の高さ記録

日本ロジスティクスシステム協会(JILS)は12月25日、2020年度の物流コスト調査結果の速報版を公表した。調査結果は原則として19年度の実績値を表している。

回答企業の売上高に占める物流コストの比率は全業種平均で5・38%(202社、速報値)となり、前年度から0・47ポイント上昇した。前年度の実績から上がったのは18年度調査以来2年ぶりで、5%台に達したのは06年度以来14年ぶり。

過去20年間を見ても、2番目に高い水準となった。JILSは「最大の要因としては、近年続いている労働力不足などによるトラック運賃や荷役費の値上げによるものではないか」と推測。物流コスト上昇傾向が続いているようだ。

新型コロナウイルスの感染拡大に関しては、調査対象を直近の決算期と設定しており、19年4月~20年3月の回答が3分の2程度を占めるため、影響は限定的とみられる。

2年連続で回答した企業163社ベースで比べると、0・14ポイントアップし5・63%だった。


売上高物流コスト比率の推移(JILS資料より引用・クリックで拡大)

値上げ要請、9割が受け入れ

調査は20年7~11月、荷主企業にアンケート調査票を送付した。全社ベースの売上高物流コスト比率を業種大分類別の平均値で見ると、製造業(140社)は5・48%、非製造業(62社)は5・16%。非製造業のうち卸売業(42社)は5・57%、小売業(15社)は3・74%だった。製造業と卸売業は前年度から上昇した一方、小売業はダウンした。

値上げ要請の有無については、回答した171社のうち「あり」としたのが83・0%(142社)に上り、「なし」の17・0%(29社)を大幅に上回った。ただ、「あり」の割合自体は19年度調査時点(189社)の93・1%から下がった。

値上げを要請されたコストの種類を尋ねたところ(複数回答可)、「輸送費」が131社で「あり」と答えた企業の9割強に達した。「荷役費」は5割の71社、「保管費」は44社、「包装費」は18社だった。

値上げ要請を受けた142社のうち、要請に応じたのは95・8%(136社)で、応じなかったと説明したのはわずか2・1%(3社)にとどまった。値上げに応じたコストの種類(複数回答可)も「輸送費」が127社で9割弱となった。「荷役費」は66社、「保管費」は41社、「包装費」は18社となった。いずれの費目も大半が値上げ要請を受け入れたことが浮き彫りとなった。

調査結果の詳細版は21年4月に刊行予定。

(藤原秀行)

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