物流関連主要団体・企業の2021年頭所感①(抜粋・要約)
コロナとの闘いは今しばらく続く
日本物流団体連合会(物流連)・渡邉健二会長(日本通運会長)
世界の各所で工場などが稼働停止となり、輸送手段にも制約が生じる中で、グローバルサプライチェーンの分断を避けるために国の内外で奮闘したのも物流事業者だった。しかし、経済環境の大きな変化により陸海空の輸送モードごとの需給ギャップが生まれ、感染状況の行方も不透明であることから、コロナとの闘いは今しばらく続くものと思われる。
世界で猛威を振るう感染症は、サプライチェーンの在り方や、物流の姿をも変えようとしている。物流の担い手が減少する中で、運転や荷役の自動化への取り組み、受け渡しや輸送の効率化に向けた「共通基盤の構築」、感染を防止するための非接触による受け渡しなど、さまざまな取り組みを並行して進めなければならない。そして、これらを可能とする前提となるのは、パレットをはじめとする容器の規格や情報などの共有、統一を進める「物流標準化」と「デジタル化」の推進だ。これらについて物流業界を超え、製造、流通などの業界とも連携し推進していきたい。
運賃・料金の適正収受など通じ課題解消
全日本トラック協会・坂本克己会長(大阪運輸倉庫会長)
コロナ禍という厳しい状況下でわが国の物流を守り続けるため、「悪貨が良貨を駆逐する」ことがないよう悪質な事業者を排除し、悪質な荷主が適切に指導され、真面目な事業者が社会において正当な評価を受け事業継続できるようにしていかなければならない。
そのためには、改正貨物自動車運送事業法に基づき、「標準的運賃」や「荷主対策の深度化」「規制の適正化」といった取り組みを着実に進め、トラックドライバーの労働環境改善の原資となる運賃・料金を適正に収受していくことなどを通じて、当業界を取り巻くさまざまな課題を解消させていかなければならない。
構造的変化を起こして挑戦する「新化」を果たす
セイノーホールディングス・田口義隆社長
社会や経済に深刻な影響を与えた新型コロナウイルスの感染拡大は、働き方や消費・生活様式などさまざまな分野でこれまでの当たり前が通用しなくなるニューノーマル時代との「共生」のきっかけとなった。事業環境が刻々と変化するこの時代に、セイノーグループがさらなる飛躍を果たすため、変化を先見して、新しい価値を提供し続けられる企業集団を目指そう。
本年のグループスローガンは「新化」に決定した。これまで築き上げた価値を組み合わせ、新たなニーズを満たす構造的変化を起こし、新たな分野へ挑戦する新化を果たすことで、お客様の繁栄に貢献しよう。
今年は“ロボット元年”
SBSホールディングス・鎌田正彦社長
グループにとって、今年は“ロボット元年”でもある。昨春、LT企画部を創設した。自動化技術を研究し、現場への導入を検討している。技術が進歩し、費用対効果が格段に向上したこともあり、業界全体に一気に広がる可能性がある。スピード感を持って進めていこう。
私たちはまだ、先を見通すことが非常に難しい状況下にいるが、こういう時こそ原則に立ち返り、物流企業としての社会的責任、環境問題、交通事故の撲滅、事故のない社会への取り組みの手を緩めないでほしい。コンプライアンスを一層強化し、揺るぎない企業グループを皆さんと形成していきたい。
今年のSBSグループは、国内の物流企業で10位、3PL事業者では3位にランクインする見込みだ。日本のロジスティクス企業のトップグループ入りはもう間近であり、グループ一丸で夢に向かって挑戦を続け、全員でこの目標を達成しよう。
(藤原秀行)