CRE公表、昨年12月末の空室率は小幅上昇も0・19%と依然低水準
シーアールイー(CRE)は1月28日、賃貸倉庫の市場動向を分析した「倉庫・物流不動産 マーケットレポート(β版) Ver.202012」を公表した。
2020年12月末時点の賃貸大型倉庫(1万平方メートル以上、BTS型含む)の空室率は首都圏で前期(20年9月末)から0・04ポイント上昇し0・19%だった。調査開始以来の最低水準を更新した前期よりわずかに上がったものの、空室面積は約1・1万坪にとどまっており、需要は依然旺盛のようだ。
CREは首都圏に関し、21年の新規供給が調査を初めて以降で最高の約88万坪になると指摘。現時点での入居内定率は19年末を上回る約65%との情報があることから「しばらくは高稼働率が継続する。新規物件へのニーズが高く、22年以降の物件に関しても内定が進んでいる」との見方を示した。
関西圏「湾岸離れの動きは今後も進む」と分析
関西圏は1・45ポイント上がって3・59%だった。2四半期ぶりの上昇を記録。新規供給の約2・9万坪は消化された一方、阪神神戸港と大阪湾岸の両エリアで既存物件から約2・9万坪と大規模な供給があったという。このうち阪神神戸港エリアは2万坪超で「需要のある地域のため消化が進む」(CRE)と分析。大阪湾岸エリアからは4000坪強の供給があり、CREは「内陸の新規供給への移転に起因している。湾岸離れの動きは今後も進む」とみている。
併せて、新規供給への需要が活発で、21年に予定されている約23万坪は約7割が内定しているとの情報を紹介。22年も現状で約8・1万坪の新規供給が見込まれていることを明らかにした。
中部圏の空室率は8・53%で前期から4・24ポイントのアップ。名古屋北エリアの新規供給で空室が約1・8万坪残ったことが理由という。
CREは「長期にわたり空室を抱えている特定物件が、空室率下げ止まりの要因となっているエリアであることから、空室の長期化が懸念される」と言及した。新規供給は21年には計画が今のところなく、22年は調査以来の最高となる約6・7万坪が計画されている。
九州圏は7四半期連続のゼロを記録。21年は佐賀県鳥栖エリアで約2・5万坪の新規供給が見込まれるが、現時点で内定率は4割強との情報を引用。21年は約1・5万坪の見通し。1000坪未満(CRE管理分のみ)の賃貸中小型倉庫は首都圏の空室率が前期から0・49ポイント下がって1・20%だった。
調査対象の大型施設は首都圏が415棟、関西圏が108棟、中部圏が30棟、九州圏が29棟、中小型倉庫は首都圏で926棟。
(藤原秀行)