内航海運業者に違法行為させた荷主への改善措置勧告・公表制度を新設へ

内航海運業者に違法行為させた荷主への改善措置勧告・公表制度を新設へ

政府が関連6法改正案を閣議決定、船員の働き方改革促進も

政府は2月5日の閣議で、造船・海運業界の競争力強化や船員の働き方改革、内航海運の生産性向上を図るため、海上運送法と内航海運業法、造船法、船舶安全法、船員法、船員職業安定法の計6法に関する改正案を決定した。

内航海運を利用する荷主企業に対し、内航海運業者に違法な行為をさせていたことを確認した場合、国土交通大臣が荷主に事態改善の適当な措置を取るよう勧告、公表できる制度を新設することなどを打ち出した。トラック運送業界と類似した仕組みを展開する。政府は今通常国会で成立すれば、2021年度中にも施行したい考え。

中国や韓国との価格競争を強いられている国内の造船業を公的に支え、技術革新や事業効率化を促すため、事業基盤強化に関する計画を事業者が策定、国土交通大臣が認定する制度を創設。認定した事業者には政府系金融機関による長期・低利融資や税制上の特例措置などを講じる。

海運業についても、環境負荷が低く省力化につながる性能を備えた新たな船舶を導入しやすくなるよう、事業者が特定船舶導入計画をまとめ、国交相が認定する制度を導入。造船業と同様の支援措置を提供する。

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で大きな打撃を受けているクルーズ船の事業再開に向けた環境整備として、日本と海外の港を結ぶ外国系のクルーズ船に対して国が輸送・旅客の安全を確保する上で必要と判断した場合、業務内容の報告を求められるようにする。

高齢化や人手不足が深刻な内航海運業をめぐっては、船員の労務管理適正化を図るため、船員の使用者が労務管理責任者を選び、労働時間の管理などを行うよう義務化。併せて、船員を派遣する場合、派遣先で適切に労務管理することも明記する。

内航海運業の取引環境改善や生産性向上のため、契約の書面交付を義務付けるほか、船舶管理業の登録制度を創設。エンジンの遠隔監視装置を活用するなど所定の条件を満たせば定期検査を省略可能とし、海事分野への新技術導入を後押しする。

(藤原秀行)

改正法案に関する資料はコチラから(国土交通省ホームページ)

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