都心部の希少性高い物件、有効活用後押し
米不動産サービス大手のクッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)は2月4、5の両日、東京都板橋区浮間舟渡の冷凍・冷蔵倉庫「LF板橋」の内覧会を実施した。新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、オンラインと現地訪問の両パターンで開催した。
同倉庫は2棟で構成しており、内覧会は現在テナント企業を募集しているサウス倉庫(地上4階建て、賃貸面積9053平方メートル)が対象。C&Wは現時点で全館をマイナス25度の冷凍とすることを想定しているが、テナント企業の要望を踏まえ、物流不動産業界でも異例の柔軟な温度帯設定に対応した大規模リノベーションを施す方針を説明した。
コロナ禍で巣ごもり需要が伸びていることなどから、今後もコールドチェーンの重要性が高まることが見込まれる。C&W担当者は機会があれば冷凍・冷蔵倉庫の仲介、開発にも前向きに取り組む方針と説明。LF板橋はその象徴的な物件として、顧客のニーズを踏まえた、きめ細かな温度帯設定などのノウハウを積み、今後の事業に活用していくことにも意欲を見せており、古い倉庫を刷新、提供していくことにも積極的に取り組む方針だ。
「LF板橋」の外観(C&W提供、左側がサウス倉庫)
全館冷凍、常温メーンなど多様なパターン想定
LF板橋はノース倉庫(地上4階建て、賃貸面積7674平方メートル)とサウス倉庫から成り、竣工がノース倉庫は1987年、サウスが95年。このうちノース倉庫は公共ロジスティックス(東京都大田区平和島)が1棟借りし、「板橋クール物流センター」として運営している。入居に併せて、外装や設備などの大規模なリニューアルを実施した。
サウス倉庫は完成から25年を超え、老朽化が目立つため、冷凍・冷蔵設備や垂直搬送機、エレベーターなどはノース倉庫と同じく、全面的に刷新する計画。テナント企業の要望に応じやすい環境となっている。現状では2021年12月の使用開始を念頭に置いている。
東京23区内で首都高速道路の中台出口から約2・4キロメートルと首都圏全域へ円滑なアクセスが可能な上、都営地下鉄三田線の蓮根駅から約1キロメートル、JR埼京線の浮間舟渡駅から約1・3キロメートルで労働力確保の面でも強みを持つ希少性の高さをアピール。
サウス倉庫はもともと3温度帯で運営していたことから、全館冷凍以外にも、一部フロアで冷蔵(5度)や常温にしたり、常温をメーンに据えて一部フロアは冷凍・冷蔵にしたりと多彩なパターンでリニューアル工事し、希少性の高い物件の有効活用を後押しできるよう、準備を進めている。
LF板橋サウス棟の庫内
(藤原秀行)