【独自取材】上場物流企業の4割が売上高や営業利益の通期予想を上方修正

【独自取材】上場物流企業の4割が売上高や営業利益の通期予想を上方修正

3月期決算対象、コロナ禍からの経済回復早まる

ロジビズ・オンラインが3月を決算期に設定している主要上場物流企業の2020年4~12月連結決算(一部は単独ベース)を集計した結果、全体の4割が売上高と営業利益に関する21年3月期の通期予想を上方修正したことが明らかになった。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で物流業界もBtoBの荷物取扱量減少など逆風を受けているが、想定していたよりも経済の回復が早まっていることが業績修正につながっている。事業環境の厳しさを受けて各社が進めている経費抑制や業務効率化の効果も表れているようだ。

営業利益が前期を上回る予想に変更した企業も5社あり、通期で営業増益を見込む物流企業は全体の約3割に拡大した。今後は業績の改善基調を持続できるかどうかが焦点となる。

売上高は既存見通しから2811億円増加

集計は上場している主要物流企業75社のうち、2月16日時点でまだ直近の四半期決算を開示しなかったり、通期予想を発表していなかったりする2社を除く73社を対象に実施した。

通期の業績予想のうち、決算発表に合わせて今年1~2月に売上高を修正したのは全体の49・3%に当たる36社、営業利益は56・2%の41社だった(20年末に予想修正した一部企業を含む)。このうち、予想を従来の数値から引き上げたのが売上高は全体の39・7%に相当する29社、営業利益は49・3%の36社に上った。

両方を同時に上方修正したのは39・7%の29社に達した。下方修正は売上高が7社、営業利益が5社で、両方を同時に引き下げたのが4社だった。

通期予想の水準は売上高が上方修正と下方修正の分を相殺すると以前から2811億円、営業利益は1051億円増えた計算となる(営業利益は赤字幅の縮小を含む)。

例えば、日本通運は国際貨物の輸送需要が伸びたことや経費抑制が想定以上に進んだことなどを理由として、売上高を500億円、営業利益を170億円上方修正。日本郵船は定期船事業で想定を大幅に上回る輸送需要が生じ需給の逼迫が継続していることなどを踏まえ、売上高を800億円、営業利益は270億円引き上げた。

また、予想数値の引き上げにより前期(20年3月期)から営業利益ベースで増益になるとみている企業は全体の34・2%に該当する25社に増加した。売上高は引き上げて増収になった企業と引き下げて減収に転じた企業が差し引きゼロで、増収予想は14社(19・2%)のままだった。

(藤原秀行)

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