国交省検討委が追加対策了承、状況把握へドローンなど活用も提案
国土交通省は2月17日、「冬期道路交通確保対策検討委員会」(委員長・石田東生筑波大名誉教授)の会合をオンラインで開いた。
国交省は2020年末から21年の年明けにかけて大雪により高速道路や国道で大量の車両立ち往生が頻発したのを受け、新たな対策を追加した「中間取りまとめ」の改定案を提示、大筋で了承された。
新規の施策として、短時間で集中的に大雪が降るようなケースではちゅうちょなく通行止めを実施する方針を明示。併せて、高速道路と並行する国道などを同時に通行止めにし、一方の道路が大渋滞しないようにすることも盛り込んだ。その前提として、国交省や道路を管理する地方自治体、高速道路運営会社など関係者がより緊密に連携するよう求めた。
さらに、立ち往生が起きた場合に台数などの状況を迅速につかむため、ドローン(無人飛行機)や衛星通信車、防災ヘリ、SNSなどを用いることも提案した。
中間取りまとめは同様に大雪で車両の立ち往生が発生した2018年に同委が決定していた。3~4月ごろをめどに内容を正式に改定した上で、国交省が関係省庁や地方自治体、高速道路運営会社などと協力、各対策の準備を進める。
昨年12月に関越自動車道の新潟県内区間で発生した車両の立ち往生(国交省報道資料より引用)
「荷主企業にも直接通行規制情報を伝達する方法整備を」
中間取りまとめの改定案は、20年年末から21年年明けにかけて起こった大規模な車両の立ち往生に関し、社会経済活動に多大な影響を与えるとともに、高速道ではドライバーらが徒歩で路外へ脱出するのが困難なため「より深刻な事態を招きかねない」と懸念を表明。
立ち往生の背景として「人流・物流への影響を最小化する観点から、高速道路と並行する国道などを交互に通行止めし集中除雪することで交通を確保しようとする意識が強く、通行止めをちゅうちょしたことが結果として大規模な車両滞留の発生や長期化の一因となっている」と地方整備局や高速道路運営会社などの対応の不備を指摘した。
その上で、対策の基本的な考え方として「人命を最優先に幹線道路上の大規模な車両滞留を徹底的に回避する」と明記。ちゅうちょせず滞留予防のための通行止めに踏み切り、物流がストップするといった事態を避ける必要性を訴えた。また、関係機関の調整は国交省が主体的に行う点を明確に記した。
さらに従来の施策に加え、短期間で大量の降雪が見込まれる場合は通行止めを行う可能性がある場所や時間帯の予測を繰り返し発表するなどして、ドライバーらの行動を変えることを促進。立ち往生が発生した場合は台数などの状況を迅速かつ正確に把握できるよう担当人員を確保することを付け加えた。
地方自治体などの道路管理者は通行規制情報を運送事業者だけでなく荷主企業にも直接伝達可能な方法を整備するなど、輸送事業者が対応できるよう適宜情報提供していく点に言及した。
他にも、除雪機器を確保・更新することや、道路を管理する自治体などの間で燃料といった備蓄を相互利用することなどを列挙。ガソリン車に加え、EV(電気自動車)が立ち往生に巻き込まれた場合の対応をあらかじめ検討しておくべきとの考えを表明した。
国交省が既に言及している、走行前に冬用タイヤを装着しないなど安全性を十分に確認せず、雪道で事故を引き起こした運送事業者に行政処分を行う方針もあらためて記述した。
(藤原秀行)