日本郵便、9月中間期で現体制移行後初の黒字転換

日本郵便、9月中間期で現体制移行後初の黒字転換

宅配取扱量増加や豪トール社の採算改善が貢献

 日本郵政の市倉昇専務執行役は11月14日、東京都内で開いた2018年9月中間決算の説明記者会見で、傘下の日本郵便が12年に現行体制へ移行して以来、9月中間期としては初めて黒字に転じたことを明らかにした。

 同社の営業損益は255億円、経常損益は246億円、純損益は191億円のそれぞれ黒字となった。宅配大手2社が荷物の引き受けを抑制していることもあり、「ゆうパック」や「ゆうパケット」の取扱数が前年同期から約18%伸びたのが収益に貢献した。宅配の値上げによる単価アップもプラスとなった。

 豪トール社を軸とする国際物流事業もエクスプレス事業の赤字縮小などで増収増益を確保した。

 市倉氏は国際物流事業の収益改善について「人件費が減少しているのが大きい。さらにコーポレートの業務集約化やシステム刷新も進めている」と説明。業務の生産性向上策の多くは中期的に効果が出てくるとの認識を明らかにした。

 宅配については、足元で取扱量の伸び率が鈍化していることに言及。「他社さんの値上げの状況が一巡したこともあると思う。年末年始の繁忙期にどれくらい質、量ともにキープできるかが注視すべき課題だ」と強調した。

 会見に同席した日本郵便の上尾崎幸治執行役員は鈍化傾向に関し「災害の影響などもあり、必ずしも(需要が)大きく落ち込んではいない」との見方を示した。

 年末年始の繁忙期への対応をめぐっては「現状では今の物量に対し、要員が不足している状況までは至っていない」と説明。老朽化した設備の更新などで業務効率化を図っていく方針を示した。

(藤原秀行)


決算会見に臨む市倉氏(左)と上尾崎氏

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