【独自取材、動画】TeamViewerジャパン、遠隔支援システム使ったピッキング業務などの改善コンサルティングに注力

【独自取材、動画】TeamViewerジャパン、遠隔支援システム使ったピッキング業務などの改善コンサルティングに注力

リモート接続とARの技術活用、作業データ分析し課題箇所を指摘

ドイツのリモート接続サービス大手TeamViewer(チームビューワー)の日本法人、TeamViewerジャパンは昨年11月、AR(拡張現実)の技術も活用し、遠隔で製造現場の組み立て作業支援などを行えるソリューション「TeamViewerフロントライン」の販売を日本で開始すると発表した。

TeamViewerが2020年8月に買収したUbimax(ユビマックス)の高度なAR技術を取り入れ、装着したウェアラブル端末を通してピッキング対象の商品データや出荷の個数などを確認できるため、ミスのないよう正確に業務を進められるのが特徴。ハンズフリーで作業に当たることができるのもメリットだ。

TeamViewerフロントラインは既にグローバルでサムソンやBMW、エアバス、コカ・コーラなど200社以上が活用しており、物流分野でもDHLなどが採用済み。TeamViewerジャパンは日本でも人手不足に直面している製造業のほか、建設・土木、流通、医療などの領域で活用を積極的に働き掛けていく方針だ。

TeamViewerジャパンは個々の作業スタッフの生産性向上に加え、TeamViewerフロントラインを通じて収集した作業データを基に、ピッキングなどの作業工程のどこに課題があるかを分析、改善を提案するコンサルティングも日本で広めていきたい考えだ。

ピッキング作業の完了を3割早める

TeamViewerは05年設立。リモート接続のソフトウエアをダウンロードしたデバイスは全世界で25億台に上る。日本法人は18年に立ち上げた。

TeamViewerフロントラインはスマートグラスなどのウェアラブル端末やスマートフォンなどを活用し、作業管理者と現場の作業スタッフをつないでリアルタイムで映像や音声による作業状況の共有を可能にしている。スマートグラスを通じて作業のマニュアルを映し出し、正しい作業工程をその都度確認したり、トラブルが起きた際に作業管理者から対応を指示したりできる。

自動言語翻訳機能を備えたチャットにも対応するなど、多様な現場で利用できるよう配慮。TeamViewerジャパンは熟練した作業スタッフの技術伝承にも役立てられると指摘している。新型コロナウイルスの感染拡大で人の移動が制限される中、TeamViewerフロントラインを生かして遠隔で業務支援できるのは大きなアピールポイントになっている。

TeamViewerフロントライン導入により、ある大手飲料メーカーは商品ピッキングの精度をほぼ100%まで高めることに成功。他にもピッキング作業の完了時間を旧来から3割弱早めたり、作業のエラー件数を1割減らせたりと多様な成果を挙げているという。

併せて、製品の製品計画と実際の成果に差が生じるなどの問題がある場合は、TeamViewerフロントラインを通じて集めた作業データを踏まえ、作業スタッフの動きや作業の流れなどを分析。問題のある箇所(クリティカルパス)を特定し、作業工程の具体的な内容見直しなどをユーザーに提案していくことが可能。

海外では既に、化学プラントで薬品の試験業務の標準作業に関し、作業担当者の熟練度によって結果にばらつきが出ていたため作業手順を可視化するために導入したケースがあるなど、業務の生産性向上だけでなく、品質管理強化に着目した使用例も見られるという。

TeamViewerジャパンの小宮崇博ビジネス開発部長は「ワークフローの中で特定の場所が生産性低下などを引き起こすクリティカルパスになっていないか、業務の異常など分析できるのが、TeamViewerフロントラインによるデジタル化の肝。次世代のビジネスプラットフォームとしてサプライチェーン全体の最適化に貢献していきたい」とソリューションの意義を強調。

国内でフロントラインの正規販売代理店を務めるアウトソーシングテクノロジーのソリューションサービス事業本部イノベーションプラットフォーム部インダストリーDX課の木村紀彦課長代理は「ペーパーレス化や労働時間短縮、若手スタッフの育成や教育に費やす時間の削減にもつながる」と多様な面で効果が期待できるとアピールしている。TeamViewerジャパンは21年中に日本国内で100社のTeamViewerフロントライン導入を目指す。


TeamViewerフロントラインシリーズの概要(TeamViewerジャパン資料より引用)


(動画中は旧商品名となっています)

(藤原秀行)

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