ゼンリンや楽天など参加、実証実験へ
埼玉県秩父市とゼンリンなど9者は3月18日、同市の山間地域でドローン(無人飛行機)やロボットなどを活用し、住民の移動や生活必需品の購入などをサポートする生活交通・物流融合事業「秩父モデル」を展開すると発表した。
事業には三菱総合研究所、楽天、西武ホールディングス、西武鉄道、西武観光バス、アズコムデータセキュリティ、早稲田大も参加。内閣府の地方創生推進交付金を活用する。
高齢化が進む地域でドローンとEV(電気自動車)を組み合わせて購入した商品を届けたり、オンライン診療を受けた住民に処方薬を配送したり、小型の電動モビリティーで住民や観光客の移動と貨物の輸送を同時にこなしたりすることを想定。ドローンは災害時の救援物資輸送にも充てる。
各者は2022年までにサービスの設計・実証、技術開発を完了した後で試験的に運用、24年に本格的なサービスの開始を目指す。秩父市から他の地域への展開も視野に入れている。
「秩父モデル」の概要(ゼンリンなどプレスリリースより引用)
各者は同日、秩父市内の秩父市役所大滝総合支所で、地元住民らに秩父モデルで想定しているサービスのデモンストレーションを公開。楽天のドローンがペットボトル入りお茶を運んだり、早稲田大が開発を進めている小型電動モビリティーで荷物を運んだり、AI(人工知能)でトラックの最適な配送ルートを自動生成したりする様子を紹介した。
デモを見学した住民からは秩父モデル実現で地域住民の負荷軽減が図られると期待する声が出る一方、質疑応答でサービス利用料金が高額になることなどを懸念する声も聞かれた。事業の参加者は、国や自治体の公的支援も得ながら相応の料金を払ってもらう形式などを検討する必要性を指摘した。
デモが行われた秩父市役所大滝総合支所。自然豊かな山間地域
人に追随して動いたり、遠隔操縦したりできる小型電動モビリティー
楽天のドローンによる物流のデモフライト
(藤原秀行)