迅速な復旧可能にする体制など検討、来夏めどに提言
国土交通省は11月19日、東京・霞が関の同省内で、「道路の耐災害性強化に向けた有識者会議」(座長・家田仁政策研究大学院大教授)の初会合を開いた。
昨今、地震や台風、大雨といった未曾有の災害が相次ぎ、今後も首都直下地震や南海トラフ巨大地震の発生が予想されているのを考慮。過去の事例を教訓にして、災害に強い道路の構築とともに、仮に被害を受けても迅速に復旧できるようにするための備えを充実させるための方策などを検討。2019年夏ごろをめどに提言をまとめる。
有識者会議の初会合
会合では、今後議論する項目として、
①迅速な応急復旧のための備えの充実
②災害時の交通マネジメントの強化
③道路施設の耐災害性の強化
④災害に強いネットワークの構築
⑤周辺からの被災リスクへの対応
⑥道路の副次的機能の積極活用
⑦通行規制基準などの見直し
――を列挙。
具体的なポイントとして▽被災した道路の状況を速やかに把握できる体制・施設の充実▽ICTを活用した情報収集・発信の強化▽リスク箇所における対策の早期実施▽長時間の遮断で救急活動などに大きな影響を与える踏切の対策▽無電柱化の推進▽高速道路の避難場所としての活用促進▽大雪・強風時の予防的通行規制を含めた通行規制基準の検証――などを進める予定。
会合の冒頭、国交省の池田豊人道路局長は「例えば道路は割合短期間で通れるようになっても大渋滞が起きるため、あらかじめ対策を吟味しておくことが課題だと分かってきたと思う。大雪も予防的に規制しないと対応が後手に回ることもあるのではないか。これまでになかったような観点で、今後の対応をぜひいろいろ議論していただきたい」とあいさつした。
家田座長は「災害をキーワードにして、道路の本質的な意味とどんな方向にもっていかないといけないかという点を、なるべく骨太な形でまとめておくことが今後数十年にわたって非常に重要な踏み台になると思う」と強調した。
(藤原秀行)