クレーン車などの台数増で大型輸送対応、災害時のスポット利用もアピール
CBcloudは、荷物と車両をマッチングする「PickGo」サービスに関し、クレーン車など特殊車両のラインアップを拡充している。軽貨物や一般貨物に加えて多様な輸送ニーズに応えられるようにするのが狙いだ。
同サービスは登録している軽車両が2万5000台に達するなど、運送事業者と荷主企業の双方で浸透が進んでいる。取り扱える荷物の種類をさらに増やし、誰もが最適なマッチングを利用できる「オープンプラットフォーム」としての基盤を強化していきたい考えだ。
同社はさらに、昨今は地震や豪雨などの災害が相次いでいる状況を踏まえ、災害時でも機能し、緊急輸送に対応できるネットワークの性質も積極的にアピールしていく構えだ。
大型車両も当日手配可能に
CBcloudが展開しているマッチングサービスは2016年にスタート。当初は軽貨物がメーンだったが、荷主企業や物流業界からの要望の高まりを受け、20年2月には一般貨物の取り扱いを追加した。現在は個人向けに買い物や受け取りを代行する「PickGo」、軽貨物から一般貨物までカバーする法人向けの「PickGo for Business」、配送パートナー向けの「PickGo for Partner」の3本立ての構成となっている。
法人向けや配送パートナー向けでは、軽車両から小型トラック、10トンの大型トラックなど多様な車両を登録。常温の荷物に加え、冷凍・冷蔵輸送にも対応可能になっている。サービスの対象エリアは全国を念頭に置いており、登録ドライバーをさらに増やして業務可能な領域を広げている。登録している事業者の運行の正確性やミスのなさなど業務内容を評価できる制度「PickGoスコア」を採用、マッチングの際の参考にしてもらい、配送品質を担保しているのも特色だ。
一般貨物車両の登録数は1万台の大台に到達、既にユニック車やクレーン車、建機などを輸送可能な大型搬送車両も登録数を着実に増やしており、各車両を当日中に手配、配送を完了させられるようにしている。さらに大型車両だけでなく、バイクや自転車による書類などの配送も拡充しているところだ。
CBcloudの松本隆一代表取締役CEO(最高経営責任者)は「PickGoは軽貨物のイメージが強いかもしれないが、10トントラックやクレーン車でも当日呼べるというサービスのスピード感は非常に評価いただいている。陸上運送に関わる多様な車両をご提供できるオープンプラットフォームになったことをアピールし、お役に立っていきたい」と語る。
加えて、災害時にも輸配送ネットワークを止めることなく、緊急の案件を手掛けていけるインフラとしての機能も注目度が高まっている。例えばある大型食品メーカーが台風の被害を受けたエリアにPickGoのマッチングサービスを使って車両を手配、緊急物資として食料品を届けたケースがあったという。
松本CEOはPickGoサービスの立ち上げ当初から、夜間配送にも対応するため24時間の運営体制を構築していたことが災害時に役立っていると解説。「JAL(日本航空)、ANA(全日本空輸)の航空2社とも提携させていただき、空路もカバーできている。これ以上早く輸送できるオープンプラットフォームはない、という体制を整えられたのではないかと自負している」と語っており、災害時のスポット輸送手段としても幅広く、自治体などに利用をアピールしていく姿勢を見せている。
(藤原秀行)