21年度も勤務実態調査、議論のベースに
厚生労働省は4月30日、トラックやバス、タクシー、ハイヤーの各ドライバーの労働時間などの規制に関する「改善基準告示」の見直しに向け、労働政策審議会労働条件分科会の「自動車運転者労働時間等専門委員会」の下に設けたトラック作業部会の初会合を開いた。
作業部会はトラック、バス、ハイヤー・タクシーの3分野ごとに設置。それぞれの業界で勤務実態の調査を行い、その結果をベースにして見直しの方向性を詰めていく予定。
初会合では、2020年度に実施したトラック運送業界の調査結果を踏まえ、21年度に再び労働実態の調査を行うことを確認した。20年度の調査結果は、実際には19年の実績を回答してもらうなど、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が十分反映できていなかったため。
20年度調査では、繁忙期の1日の拘束時間について、基準を上回る「16時間超」と回答した事業所が4・3%、ドライバーは15・0%に達するなどの実態が明らかになっていた。
作業部会より前の4月23日に開催した専門委員会の第5回会合では、メンバーの貫正和委員(全国交通運輸労働組合総連合=交通労連=
トラック部会事務局長)が、幹線の長距離輸送とそれ以外の日勤の配送では業務形態が異なり、勤務の実態にもかなり差があると指摘、休憩時間などの各項目で長距離とそれ以外の配送という2つの基準を設定するよう訴えた。
世永正伸委員(全日本運輸産業労働組合連合会=運輸労連=中央副執行委員長)は、年間の拘束時間上限を現行の3516時間から休日労働込みで3300時間以下に抑えるべきとの見解を示した。
(藤原秀行)