日本郵政が新中計公表、荷物配達などのビッグデータ活用した業務効率化も
日本郵政は5月14日、2021~25年度を対象とする中期経営計画「JPビジョン2025」を公表した。
グループが目指す姿として、郵便局ネットワークを活用するとともに、多様な企業などと連携し、顧客と地域を支える「共創プラットフォーム」を標ぼう。DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進で郵便局の業務をデジタル化し、利便性を高める「デジタル郵便局」を実現することを打ち出した。
併せて、中核の郵便・物流や銀行、生命保険の各事業に加え、不動産事業の拡大や新規領域への進出にも取り組む方向性を示した。
また、期間中のできるだけ早期に、日本郵政がゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の金融2社の株式を保有する割合を50%以下に抑え、両社が新規事業へ進出しやすくなるようにする方針も明示した。
設備投資は、既に公表している、郵便・物流事業のDXや郵便局の窓口業務デジタル化などへの戦略的IT投資4300億円程度のほか、不動産投資に5000億円程度、M&Aを含む新規ビジネスやベンチャー企業への投資などで5500億~1兆円程度をそれぞれ投じる。
また、業務効率の向上による省人化を進めるとともに採用者数の抑制などで、日本郵便では期間中に3万人相当分の労働力減少、人件費は1600億円の削減をそれぞれ見込んでいる。
ゆうパックとゆうパックの数量は2割増を予想
DXの具体策として、荷物量に応じた配達要員や車両の割り当てと配送経路の最適化、車載端末からの情報を基にした配達のエリア・順路の見直し、荷物再配達の自動受付のAI(人工知能)活用などを列挙。荷物配達などのビッグデータを分析、業務効率化に生かしていく「データドリブン路線」を鮮明にした。
また、ECやフリーマーケットの利用拡大を踏まえ、25年にはゆうパックとゆうパケットで合計13・6億個と、20年(10・9億個)から約2割増になると予想しており、営業倉庫を現状の22拠点・延べ床面積15万3000平方メートルから26拠点・20万平方メートルまで拡充する方針を明示。さらに、営業倉庫を生かした3PLサービスの受託拡大も目指すことを提示した。
郵便局の窓口でタブレット端末を積極的に使い、各種手続き・申し込みのペーパーレス化・迅速化を進めるとともに、監査・点検結果のデータ電子化にもつなげると説明した。
グループの豪物流大手トールホールディングスはエクスプレス事業売却を受け、豪州に依存した経営構造から脱却、日本を含むアジアを中心としたビジネスモデルへの転換を図る。営業収益は日本を含むアジアで20年度の3200億円から25年度は9%増の3500億円まで伸ばす計画だ。
郵便・物流事業の「データドリブン改革」の概要(日本郵政資料より引用)
(藤原秀行)