定時株主総会で提案予定、対決姿勢より鮮明に
乾汽船は5月14日、筆頭株主の投資会社アルファレオホールディングス(HD)および同社と関係がある企業に対象を限定した新たな買収防衛策に変更すると発表した。
6月23日開催の定時株主総会に提案する。承認されれば特定の企業などに対象を絞っていない現行の買収防衛策を廃止した上で、あらためて新たな買収防衛策を導入する。現状では定時株主総会で承認される公算が大きいもよう。
新たな買収防衛策は、現在乾汽船の発行済み株式の29・99%(議決権ベースでは31・50%)を保有するアルファレオHDなど特定グループを念頭に、30%を超える株式を取得しようとしたり、濫用的株主権の行使と裁判所が認める行為をしたりした場合に発動すると明記。
独立委員会への諮問などを経て、対抗措置としてアルファレオHDなど一部を除く全ての株主に新株予約権を無償割り当てし、アルファレオHDの持ち株比率を強制的に引き下げることを想定している。
乾汽船は買収防衛策変更の理由について、アルファレオHDが頻繁に訴訟を提起したり臨時株主総会の招集を求めたりしてきたことに言及。大規模な株式買い付けや株主権の濫用的行使は乾汽船に直接の損害を生じさせるとともに、経営リソースの空費やステークホルダーとの関係の破壊・毀損で中長期的な企業価値や株主の共同の利益を損ねる恐れがあると主張している。
アルファレオHDへの対決姿勢をより鮮明にした格好だ。乾汽船は法律学者の意見を聞くなど「適法性を厳しくチェックしている」と強調しているが、アルファレオHD側が激しく反発するのは確実だ。
(藤原秀行)