今期は営業利益15%増、改善見込む
ロジビズ・オンラインは、上場物流企業74社の2021年3月期決算を独自に集計した。
連結ベース(一部企業は単独)で売上高は全体の7割強、本業のもうけを示す営業利益は5割強の企業が前期から落ち込んだ。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が経営の重しになっている現状が浮かび上がった。
ただ、宅配企業は“巣ごもり消費”拡大によるeコマースの利用増が追い風となり増収増益を確保するなど、コロナ禍の中でも収益を伸ばした企業が見られた。
一方、22年3月期の予想を見ると、会計基準や決算期の変更などで比較ができない企業を除いた58社ベースではトータルの売上高が1・7%増、営業利益が15・7%増となった。緊急事態宣言の継続など経済の先行きに不透明感が漂う中でも、収益の改善を見込む傾向が示された。
陸運業、収益回復見込む企業目立つ
集計は東京証券取引所などに上場し、3月期決算を公表している企業を対象に実施した。74社の21年3月期の売上高は前期から2・0%減の15兆7048億円となった一方、営業利益は10・5%増の7058億円に達した。営業損失の場合は全体の合計額から差し引いた。
売上高が減少したのは78・4%の58社。ただ、売り上げ規模の大きなヤマトホールディングスやSGホールディングスが消費者の宅配利用が伸びた効果で増収となったことなどから、全体の落ち込みは小幅にとどまった。営業利益は54・1%の40社が減少したり、黒字から赤字に転落したり、赤字が増えたりした。21年3月期に営業赤字となったのは7社だった。
証券取引所の業種区分に従い、74社を「陸運業」「海運業」「倉庫・運輸関連業」の3つに分類したところ、陸運業33社の21年3月期は全体の売上高が0・7%増、営業利益が18・7%増となった。売上高はプラスだった7社が全体を引き上げた格好だ。
22年3月期は売上高が3・8%増、営業利益が5・5%増。収益の回復を予想する企業の割合が他の2業種より目立った。
一方、海運業の11社は全体の売上高が9・2%減、営業利益が31・7%減(営業損失の場合は全体の合計額から差し引いた)。ただ、経常利益ベースでは日本郵船と商船三井、川崎汽船の大手3社は共同出資した定期コンテナ船事業のオーシャン・ネットワーク・エクスプレスが好調だったため、大きく伸びた。
22年3月期は売上高で8社、営業利益で7社がプラスを予想。コロナ禍の影響で高騰したコンテナ運賃が正常化してくるため、売上高は2・0%減となっているものの、営業利益は93・2%増と大きく戻す姿を見込んでいる。
倉庫・運輸関連業30社は全体の売上高が1・0%減、営業利益が12・4%増となった。22年3月期に関しては売上高が2・8%増、営業利益が1・8%減で、全体的に収益が大幅に増減する見通しにはなっていない。
(藤原秀行)