キヤノンITSなど4社がベルトコンベヤーの予知保全で共同実証

キヤノンITSなど4社がベルトコンベヤーの予知保全で共同実証

IoTでメンテナンスを目視からデジタル管理に置き換え効率化

 キヤノンITソリューションズは11月27日、IoT(モノのインターネット)を活用したベルトコンベヤーの予知保全システムで概念実証(Proof Of Concept:PoC)を行うと発表した。

 CAEソリューションのサイバネットシステム、計装制御の亀山電機(長崎市)、ビッグデータ解析のtoor(トア、福島県三島町)と共同で、ベルトコンベヤーの温度・振動・状態などをIoTで常時収集・分析することで可視化。故障につながる予兆をより早く検知して製造業の各種機械設備における安定稼働に貢献していきたい考え。また亀山電機は2019年度より各社の技術を利用した故障予知保全サービスを開始する予定だ。

 製造業の生産拠点で使用される機械設備は連続稼働による機能低下、経年劣化から突然の故障・停止といったリスク側面を持ち、これが原因でサプライチェーンや販売活動などに影響・損失を与えることも見受けられる。特にモータ、ファンなど大・中型回転体で使用されるベアリングや歯車、ベルトコンベヤーなどは故障しやすい装置・パーツとして挙げられている。これらの障害や異常の前兆となる変化を早期かつ細かく検知できれば、未然に対策を講じる予知保全として想定外のシステム停止や重大な設備損傷の防止に加え、稼働率向上、設備寿命の延長、交換部品の削減などといった効果があると見込む。

 それにはさまざまな箇所へのセンサー設置や状態を監視するための膨大な画像情報などが必要となり、また分析対象の要素数(変数)が増大することでデータ解析作業の難易度も上がり既存手法では対応できないと指摘。今回の概念実証ではセンサー情報と画像の特徴データを合わせた200以上の変数となる多変量データを統合し、機械設備全体の稼働状況を俯瞰できる新たなマップ化手法を採用する。各社の役割は

  • 亀山電機:PoC主体、事業化検討
  • キヤノンITS:画像取得、分析、特徴抽出
  • toor:多変量データマップ化エンジン、toorPIAの提供
  • サイバネットシステム:ビッグデータ可視化/分析システムの提供

――。

 ベルトコンベヤーは資機材や製品の運搬など屋内外のさまざまな環境で使用されていることに加え、日々のメンテナンスは現場担当者による目視が中心で故障発生時はベルト破断など重大なトラブルにつながるケースも多いため予知保全が早急に求められているという。マップ化手法によって機械設備の状態監視、経年劣化に伴う状態変化を見える化させ、一定周期で行っていたメンテナンスを個々の設備状態に応じて必要なタイミングで実施。トラブル発生リスクの低減やメンテナンスコストの最適化などによって、機械設備の安定したライフサイクルを導出・実現することが期待される。

(鳥羽俊一)


ベルトコンベア予知保全システムイメージ図(キヤノンITソリューションズより)※クリックで拡大

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