現金より安全性確保と期待、徐々に拡大へ
日本郵船は6月10日、グループの船舶管理子会社の乗務船員に対し、同社とフィリピンのTDG社(Transnational Diversified Group)が運営するマルコペイ社(MarCoPay Inc.)発行の電子マネーによる給与支払いをスタートさせたと発表した。
2020年3月に世界で初めて、試験的に洋上で電子通貨を流通させることに成功した後、フィリピンの各省庁から電子通貨による船員への給与支払いについて承認を得て、南アフリカ・ダーバン沖を航海中のLNG(液化天然ガス)運搬船と、日本沿岸を航海中のコンテナ船に乗船しているフィリピン人船員に対し、マルコペイ社が発行した電子通貨で給与の一部を支払った。
以前より船舶に多額の現金を届けること、およびその現金を船上に保管しておくことが安全上の理由からも大きな課題となっており、特に昨今の新型コロナウイルス禍では給与支払い・受け取り手段が大きく制限される中、マルコペイ社の電子通貨プラットフォームを活用することで、船員と船舶管理会社の双方にとって安全性確保が期待できる新たな選択肢が一つ増えたことになる。
今後、新規乗船者から登録を順次進め、21年中に同社グループで船舶管理している約200隻の船舶全てを対象に毎月の給与の一部を電子通貨で支給することを始める予定。また、マルコペイ社は電子通貨の導入を他社の管理船にも順次拡大していく考えだ。
(画像はプレスリリースより引用)
(ロジビズ・オンライン編集部)