新たな総合施策大綱が36項目のKPI提示、達成の道筋明示など課題に
政府は6月15日に閣議決定した2021~25年度が対象の「総合物流施策大綱」で、36項目のKPI(重要評価指標)を提示している。今後、有識者や関係事業者らが参加した評価の場を定期的に開設し、施策の実効性を高めることを打ち出している。
KPIは大綱が柱に据えている、
①物流DX(デジタルトランスフォーメーション)や物流標準化の推進によるサプライチェーン全体の徹底した最適化=(「簡素で滑らかな物流」の実現)
②労働力不足対策と物流構造改革の推進=(「担い手にやさしい物流」の実現)
③強靱で持続可能な物流ネットワークの構築=(「強くてしなやかな物流」の実現)
――ごとに導入。
一例として、「物流業務の自動化・機械化やデジタル化に向けた取り組みに着手している物流事業者の割合」を25年度に100%、「物流業務の自動化・機械化やデジタル化により、物流 DX(デジタルトランスフォーメーション)を実現している物流事業者の割合」は同じく25年度に70%にすることを掲げている。
トラックドライバーの労働環境改善では、25年時点で年間所得額平均を全産業平均まで引き上げ、平均労働時間は全産業平均まで引き下げることなどを設定。「ホワイト物流」推進運動への参加企業は20年度末の1201から25年度末は3000まで増やすことなども盛り込んでいる。
他にも物流業の労働生産性は25年度までに18年度比で2割程度向上させることや、4割を切っているトラックの積載効率は25年度に50%まで改善させること、アジアでの日本の物流事業者の海外倉庫の延べ床面積を25年度までに20年度比で27%増やすことなどを列挙している。
今後は国土交通、経済産業の両省など関係省庁に対し、各KPI達成の具体的な道筋を示すとともに、物流事業者や荷主企業から協力を得るため、各KPIが達成された場合に現状からどのように物流の領域が変わり、どういった恩恵を受けられるのかを分かりやすく説明することが強く求められそうだ。
(藤原秀行)