PwCのAPEC加盟21カ国・地域調査
PwC Japanグループはこのほど、PwCがAPEC(アジア太平洋経済協力会議)加盟21カ国・地域の主要企業に所属するビジネスリーダー1189人を対象に2018年5~7月行った意識調査結果を公表した。収益の成長に「大いに自信がある」と回答したのは35%で、2017年の前回調査(37%)とほぼ同水準だった。
また、回答者の51%が向こう12カ月間の投資額を増やすことを計画していると明らかにした。有望な海外投資先とみているのは、ベトナムを筆頭に中国、米国、オーストラリア、タイがトップ5を占めた。
APECのビジネスリーダーは事業環境を前向きに捉えている傾向が強いことをうかがわせた。ただ、米中両国の経済摩擦などを受け、世界経済の先行き不透明感が増しており、その後リーダーたちの意識が変化しているかどうかが注目される。
企業価値が10億ドル以上の未上場のスタートアップを指す「ユニコーン企業」の成長を促す条件を備えているAPECメンバー(米中両国以外)については、シンガポールと日本を挙げた向きが最も多かった。
追加関税、米国は69%が「収益にプラス影響」見込む
一方、回答者の56%が雇用を増やしていると答え、人員削減に積極的なCEO(最高経営責任者)は9%にとどまった。しかし、34%が適切なスキルと経験を備えた人材を見つけるのに苦労していることを認めており、必ずしも適正な人材配置が実現していないことを示唆している。
さらに、ビジネスリーダーの65%は、自国の政府が「STEM」(科学・技術・工学・数学)分野のプロフェッショナル養成へさらに措置を講じる必要があると考えていることが分かった。自国政府が同分野の人材育成で十分な対応をしていると感じているのはわずか14%だった。
調査は併せて、今年9月に米中間で追加関税が発動された後、米国のビジネスリーダー100名を対象に追加でヒアリングを実施。その結果、69%が関税による収益へのプラスの影響を予想しており、企業コストへのマイナスの影響を見込む27%を大きく上回った。
(藤原秀行)