米C&Wが21年前半の市場リポート、国道16号沿線のプライム賃料は2・2%上昇
米不動産サービス大手のクッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)は8月3日、日本の物流施設市場に関するリポートを公表した。
2021年前半の動向として、新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあってeコマースの浸透が進み、物流施設需要が堅調に推移していると解説。消費地の都心に近い国道16号線沿線のプライム(好条件の物流施設)賃料は前年同期から2・2%上昇し4600円になったと説明した。
また、栃木県宇都宮市、富山県射水市、静岡県掛川市など大都市圏外縁部や地方都市での竣工が目立ったと指摘。「スピーディーな小口配送需要に起因する物流の広域化・複雑化などへの対応が期待されている。関東および大阪内陸エリアでは引き続き需要が旺盛で供給が後追いとなっている」と前向きな見方を示した。
具体的な開発案件として、今年6月に千葉県船橋市で3棟目が完成した三井不動産の「街づくり型ロジスティクスパーク」としての開発プロジェクトに言及。敷地内にアイスリンクスケートや約2万平方メートルの緑地空間を整備し、隣接するイケアの大型店舗や三井不動産の商業施設「ららぽーとTOKYO-BAY」と一体化した地域のにぎわいを形成している点に触れた。
また、プロロジスが愛知県東海市、日本GLPが大阪市東住吉区で公表した開発などでも敷地内に緑地を設けるといった区域内の公園やスポーツ施設、商業施設と一体感のある計画になっていることを引用。「最新鋭の設備が充実した大型物流施設は、拡大する配送需要の中で安定した雇用をもたらすだけでなく、災害時の一時防災拠点としての役割も担うなど、自治体にとっても地域の新興と安全に大きく貢献する重要施設としての位置付けとなりつつある」との見方を打ち出した。
C&W日本法人の鶴岡一志ロジスティクス・アンド・インダストリアルサービス シニア・マネージャーは「コロナの影響は若干あるものの、これまで同様、比較的堅調に推移しており、首都圏の空室状況が非常にタイトである点も変化がない。引き続き、市況をウォッチする必要があると考えている」と述べた。
(藤原秀行)