高速道の変動料金制導入を提言、深夜割引は料金所の待機混雑回避へ時間帯拡大の検討訴え

高速道の変動料金制導入を提言、深夜割引は料金所の待機混雑回避へ時間帯拡大の検討訴え

国交省が審議会中間答申を公表

国土交通省は8月4日、社会資本整備審議会道路分科会の国土幹線道路部会(部会長・朝倉康夫東京工業大環境・社会理工学院教授)が取りまとめた今後の高速道路の最適な在り方に関する中間答申を公表した。

高速道路料金に関し、東京オリンピック・パラリンピックの開催期間中、選手や大会関係者を円滑に輸送するため首都高速道路で日中はマイカーなどの料金に1000円を上乗せして交通量抑制を図る一方、深夜はETC搭載車両の料金を割り引いている「ロードプライシング」(変動料金制)を実施していることに触れ、「まずは、大都市圏の主要な渋滞発生区間を対象に、時間帯や曜日をあらかじめ区切って交通転換を図るための料金施策を検討すべきである」との見解を表明。変動料金制の導入を提言した。

併せて、将来は交通需要に応じて一定時間ごとに変動する機動的な料金導入を目指すよう要望。交通量などを考慮して細かく料金を変動、渋滞緩和につなげるよう訴えた。

国交省は中間提言を踏まえ、高速道路運営会社などと調整、変動料金制を首都圏の路線で試験的に実施したい考えだ。

中間答申は、現行の料金割引制度を見直す必要性に言及。このうち、午前0~4時が対象の深夜割引に関しては、高速道路に並行している一般道の夜間交通量が大幅に減少して騒音も低減していると効果を指摘する一方で、首都圏や近畿圏の本線料金所で深夜割引が適用される時間まで待機するトラックが多数集まり混雑が起きたり、荷主企業との関係上、運送事業者が割引適用時間帯の深夜に走行せざるを得ない状況になっていたりする点を考慮し「深夜割引がトラック運転者らの労働環境悪化につながっているとも捉えられる」と疑問を呈した。

その上で、「交通容量に余裕のある高速道路の夜間利用の促進およびトラック運転者などの負担の軽減を目的として、割引適用時間帯の拡大について検討する必要がある」との見解を表明。さらに「割引の開始時・終了時における料金所周辺などへの車両集中を緩和するため、割引率を段階的に拡大・縮小させるような工夫についても検討すべきだ」と述べた。

休日割引については、渋滞緩和のため大型連休やお盆などの繁忙期や観光客が帰宅する夕方の時間帯は適用外とすることを検討するよう提示。大口・多頻度割引については意見が分かれていることを踏まえ「現下の経済状況を踏まえた拡充と、原因者負担の公平性の観点からの縮小の両面について、引き続き検討する必要がある」と説明、具体的な方向性については明言しなかった。

無料区間も「利用者負担を基本とすべき」

中間答申はこのほか、高速道路の維持管理・修繕や更新、機能向上のため、料金の徴収期限を現行の2065年までから再延長すべきだとの見解を表明。ただ、いつまで有料の期間を延長すべきかについては「(維持・更新などに要する費用の)長期的な見通しを的確に立てることが難しい」として、具体的な言及を避けた。

併せて、「更新・進化の債務を完済した後、維持管理などのために引き続き料金徴収を継続するか、税負担に切り替えていくのかという論点については、超長期の将来の見通しをもって議論する必要があり、道路交通を取り巻く環境の大幅な変化などを見据えながら、引き続き議論を継続する必要がある」との考えを盛り込んだ。

国と地方自治体が整備、現在無料開放している高速道路区間についても「利用者による負担を求めることを基本とすべきである」と明言。同時に、周辺地域の意見も聞いた上で利用者負担について慎重に検討するよう求めた。

(藤原秀行)

中間答申はコチラから(国交省ホームページ)

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