豪トールのエクスプレス事業売却が8月末に完了

豪トールのエクスプレス事業売却が8月末に完了

日本郵政が15年に巨額買収も低迷続く

日本郵政は9月1日、傘下の国際物流大手、豪トールホールディングスのエクスプレス事業を同国の投資ファンド、アレグロのグループ企業に売却する手続きが8月31日付で完了したと発表した。

売却方針は4月に公表済み。当初は手続き終了を6月末と予定していたが、同事業を展開しているオーストラリアやニュージーランドの規制当局の承認を得るのに時間を要したため、ずれ込んでいた。売却額は7800万豪ドル(約7億円)。

日本郵政は2015年に国際物流を強化するため、トールを約6200億円で買収、日本郵便の子会社となった。しかし、オーストラリア経済の減速などで業績の不振が続き、17年3月期には日本郵政グループで約4000億円の減損損失を計上した。

その後も収益は回復せず、20年にトールがサイバー攻撃を受けて情報システムが遮断したことや、新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大したことも打撃となり、成長が見込めないエクスプレス事業の売却を余儀なくされた。同事業の業績は20年4~12月時点で営業損益(EBIT)が8300万豪ドル(約60億円)の赤字にとどまっていた。

日本郵政は今後、フォワーディングやロジスティクスの事業に注力、トールの業績回復を目指す方針。

(藤原秀行)

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