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【独自取材】ゼブラ・テクノロジーズ、倉庫自動化を5段階に分類した共通モデル活用し業務改革支援

【独自取材】ゼブラ・テクノロジーズ、倉庫自動化を5段階に分類した共通モデル活用し業務改革支援

顧客の実態把握し最適なソリューション提案、「地に足の付いたデジタル化」実現目指す

物流など産業現場向けデバイス大手の米ゼブラ・テクノロジーズは、物流倉庫の自動化・省力化支援に注力している。新たな取り組みとして、倉庫内業務の自動化・省力化の過程を5段階に分け、それぞれの段階でどういった対応が必要かを分かりやすく明示した共通のモデルを作成。顧客ごとにモデルを使い、直近でまずどの段階まで自動化・省力化を進めるべきかを判断、最適なソリューションを提案できるようにした。

同社が数十年にわたり、物流業や製造業、小売業などの現場を分析、モバイル端末やハンディターミナル、バーコードスキャナー、RFIDリーダーといったデバイス導入を支援してきた知見を活用。深刻な人手不足や新型コロナウイルスの感染拡大による密集回避の重要性の高まりを受け、自動化・省力化が強く求められている日本でも、日本法人のゼブラ・テクノロジーズ・ジャパンが核となり、モデルを浸透させていたきい考えだ。

日本法人の古川正知社長は「一足飛びに何が何でも自動化ではなく、お客様の業務内容を理解した上で目指すべき方向性を話し合い、地に足が付いた自動化、デジタル化を可能にしていきたい」と意気込んでいる。


古川社長(ゼブラ・テクノロジーズ・ジャパン提供)

倉庫への新技術投資、理想と現実のギャップが明らかに

ゼブラは1969年設立。現在は世界100カ国に1万社を超えるパートナー企業を抱え、米経済誌「フォーチュン」が毎年選出している全米の収益上位500社「フォーチュン500」の95%が同社製品を採用するなど、強固な事業基盤を持つ。2020年12月期の連結売上高は44億4800万ドル(約4900億円)で、新型コロナウイルスの感染拡大下でも収益の1割程度を新技術の研究開発に投じ続けている。

近年は世界的にeコマース市場が飛躍的に拡大し、少量多品種の出荷や当日配送、返品への対応などでサプライチェーンが複雑化しており、ゼブラは「倉庫事業においても人手不足などの課題解決へ遅れを取らないように対応する必要がある」と問題意識を表明。顧客企業が抱える倉庫作業の自動化・省力化のニーズにより踏み込んで応えていく姿勢を示している。

ゼブラが19年、欧米やアジア大洋州の主要製造業などの幹部を対象に実施した調査結果によると、倉庫業務の競争力を高めるため新たなテクノロジーへの投資を計画していると答えた割合が8割に達した。その一方、在庫把握などに紙ベースのシステムを依然使っている割合も5割に上るなど、理想と現実のギャップが明らかになっている。

そうしたギャップを着実に埋められるようゼブラが取り組んでいる施策の1つが、庫内作業のモダナイゼーション(近代化)を加速させるための戦略的なフレームワーク(枠組み)「Zebra Warehouse Maturity Model(ゼブラ・ウェアハウス・マチュリティ・モデル、ZWMM)だ。意訳すれば「ゼブラ流・倉庫オペレーションを十分に成長させていくモデル」となるだろうか。ゼブラが日本を含むグローバル規模で倉庫業の現場を分析、共通的に当てはめられるモデルを作成した。

ZWMMは倉庫業務を自動化・省力化していく過程を5段階に分類した。その前段の「0段階」は現場作業が紙ベースで行われていることを想定しており、従業員もワークフローもサイロ化して情報共有には程遠い状況になっている。

ZWMMは各段階で最も念頭に置くべき取り組みとして、

第1段階:バーコード管理システムを使った商品の現状と場所の把握
第2段階:ウエアラブル端末や音声を活用した管理システムによる従業員チームのコミュニケーション促進とワークフローの情報共有
第3段階:RFIDセンサーを生かしたリアルタイムの在庫・入出庫管理
第4段階:位置情報システムを駆使したリアルタイムの従業員チーム、商品の動き把握
第5段階:オートメーション化によるAIなどを利用した将来予測、オペレーション改善

――と説明している。いずれの段階も、顧客の倉庫管理システム(WMS)との連携が前提となっている。


「Zebra Warehouse Maturity Model」のイメージ(ゼブラ・テクノロジーズ・ジャパン提供)

各段階で盛り込んだ取り組みを進めることにより、達成を目指す事項として第1段階は「個々の従業員の生産性向上」、第2段階は「チームの生産性とワークフロー向上」、第3段階は「人・物・製品の可視性と利用率の向上」、第4段階は「リアルタイムの将来予測と意思決定」、第5段階は「データ駆動型パフォーマンスによるオペレーション」と定めている。

理想の姿としては、まず第1段階でバーコード管理システムを投入、商品の情報や保管場所を個々の従業員がきちんと把握、正確に作業できるようにする。

次の第2段階はウエアラブル端末などで従業員がチームごとに意思疎通を深められるようにし、情報を確認するために事務所を訪れるといった手間を省いて業務の効率化につなげられるとのシナリオを描く。

第3段階は例えば入荷した商品ケースをスキャンすると同時にRFIDタグを発行し、現在地などのステータスをより効率的に管理できるようにする。第4段階はさらに踏み込み、従業員自身やパレット、かご台車、フォークリフトなどにも取り付けたRFIDタグを生かして庫内全体の人や物の移動を細かく把握できるようになると見込む。第5段階はロボットなども投入、完全自動化するとのイメージだ。

古川社長は前述の19年の調査で、倉庫業務において必要なことを尋ねた結果、「完全自動化」は16%にとどまった一方、「部分的な自動化(一部人の手を介在)」が39%、「人間拡張の活用(デバイスによる作業員の能力強化)」が34%と対照的だった点に言及。

「日本では第1、第2段階のあたりから着実に自動化・省力化に取り組もうとされている倉庫業が多いのではないか。まず第1、第2段階へと庫内作業のモダナイゼーションを確実に進められるようにソリューションを提供していく。その次の段階へ進もうとされる企業をどう支援していくかを検討していきたい」と話している。日本でもZWMMを積極的に顧客へ提案し、着実に自動化・省力化を進めて物流業務の全体最適を図っていけるようにしたい考えだ。

ゼブラは8月、米国のロボット開発ベンチャー、Fetch Robotics(フェッチロボティクス)の買収完了を発表。サプライチェーン全体の最適化へロボットもより広範に活用できる体制を整備している。ZWMMに則った自動化・省力化支援を進める上で、フェッチのAMR(自律搬送ロボット)などを組み合わせていく機会が増えることも予想される。

(藤原秀行)

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