佐川急便のアクセラレータープログラム、第2期はトレードワルツが最優秀賞獲得

佐川急便のアクセラレータープログラム、第2期はトレードワルツが最優秀賞獲得

貿易情報を電子化し関係者間の共有促進、国際物流拡大に寄与見込む

佐川急便は11月11日、物流業務の効率化やサービスレベル向上に寄与する技術を持つスタートアップ企業と事業創造の内容を競い合う「SAGAWA ACCELERATOR PROGRAM(佐川アクセラレータープログラム)」第2期の結果を発表した。

応募があった80件超の提案の中から4社が最終審査を通過。このうち、最優秀賞は「SAGAWAの国際物流ソリューション進化」を提案した、貿易情報管理システム「TradeWaltz(トレードワルツ)」を運営するトレードワルツを選出、賞金100万円を授与した。佐川は他の3社と併せて、引き続き実証実験などを重ね、サービスの実用化と普及促進を目指す。


最優秀賞を獲得したトレードワルツとサポートした佐川のメンバー。左端がトレードワルツの染谷取締役

トレードワルツは2020年4月設立。NTTデータや三菱商事、東京海上日動火災保険、三菱UFJ銀行、豊田通商、兼松、損害保険ジャパンが共同出資している。同システムは特定のネットワークに参加した複数のコンピューター間でデータを安全にやり取り可能なブロックチェーン技術を生かし、電子化した各種書類を関係者間で共有。多岐にわたる国際貿易の関係者が情報を迅速に共有できるようサポートするのが特徴だ。

同システムを活用しながら貿易業務効率化を目指す新たな団体「貿易情報連携効率化・普及に向けたコンソーシアム(貿易コンソーシアム)」には既に65の企業や団体が参加している。

トレードワルツはアクセラレータープログラムで、同システムに国内物流も組み合わせたシームレスネットワークを提供、販路拡大を目指すことを提案した。佐川は最優秀賞に選んだ理由として、自社の国際物流成長に寄与することが期待できる点などを挙げている。貿易コンソーシアムにはSGホールディングスグループで国際物流を担うSGHグローバル・ジャパンも名を連ねている。

他の受賞企業は以下の通り。

▽優秀賞(50万円) ugo
「屋内物流の新常識を創る」

(AI自動ロボット「ugo」を活用し、屋内物流サービスに加え広告宣伝や見回り等の付加価値を創出)

▽HIKYAKU LABO(飛脚ラボ)賞(30万円) SWAT Mobility Japan
「TMSソリューションの進化」

(配車アルゴリズムによる最適な車両台数や走行ルートの組み立てで業務効率化を図る)

▽審査員特別賞(10万円) フツパー
「AIでSGWの安全から社会全体の安全へ」

(ドライブレコーダーからAIが運転を診断。人が行っていた検出作業時間の短縮を図る)


優秀賞を獲得したugoとサポートした佐川のメンバー

東京都江東区新砂の佐川急便東京本社内で同日開催した表彰式で、トレードワルツの染谷悟取締役CEO室長兼グローバル&アライアンス事業本部長は「われわれのサービスはまだ始まったばかりでこれから成長していかなければいけない。荷物を送られる日本や世界の方々のためにもサービスを向上させていきたい」と意欲を示した。

佐川急便の本村正秀社長は「各社の皆様には世界に羽ばたく企業に成長していただきたい」とエールを贈った。

アクセラレータープログラムは第1期を20年9月~21年3月に実施。5社が最終審査を通過し、独自開発したバーコードによる貨物追跡サービス「SmartBarcode(スマートバーコード)」などを手掛けるLOZI(名古屋市)が最優秀賞を獲得した。プログラムの終了後も事業化の検討を継続している。

佐川はアクセラレータープログラムの目的として、スタートアップ企業の斬新なアイデアと佐川が持つ物流インフラを組み合わせ、「社会をよりよく変えていける新しい物流サービスの創出」「社会インフラとしての物流機能の安定供給」「新たな生活スタイルを物流の力でもっと安全・便利に」の3点を実現することを挙げている。

最終審査まで残ったスタートアップ企業にそれぞれ佐川の担当者が付き、事業提案内容のブラッシュアップなどを共同で実施している。第2期は今年4月から11月まで行ってきた。

アクセラレータープログラムは今後、通年で実施する方向で検討している。

(藤原秀行)

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