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【独自取材・物流施設デベロッパーのキーパーソンに聞く】日本GLP・帖佐社長(後編)

【独自取材・物流施設デベロッパーのキーパーソンに聞く】日本GLP・帖佐社長(後編)

「コロナ禍でも物流施設への堅調な需要は全世界共通の構図」

日本GLPの帖佐義之社長はこのほど、ロジビズ・オンラインの単独インタビューに応じた。

帖佐社長は、今年4月から本格的に始めた物流施設の入居企業の悩みを総合的に受け付けるコンシェルジュサービスに関し、相談件数が非常に増えていると説明。物流施設のスペース提供にとどまらず、入居企業の物流業務全般にわたってサポートしていく方針を堅持する姿勢を示した。

また、新たな領域としてデータセンターの開発やコールドチェーンのニーズへの対応、再生可能エネルギーの活用に取り組みたいとの意向を表明。事業規模拡大に伴い、新型コロナウイルスの感染拡大以降、従業員を70人以上採用していることを明らかにし、人員体制の強化に努めていると強調した。

今後の賃貸物流施設市場については、コロナ禍でも堅調な需要が日本をはじめ世界共通の構図として続くと展望した。インタビュー内容を3回に分けて紹介する。


帖佐社長(2020年、中島祐撮影)

全従業員の40%がコロナ以降入社

――ずいぶん前から言われてることではありますが、物流施設デベロッパーはもはや単純な場所貸し、建物貸しではなく、ソリューションプロバイダーとして人手不足や機械化など、入居企業の様々な悩みに応えられるような体制を求められる時代になってきたと思います。そうした流れがさらに強まったのがこの1年だったように感じられます。
「われわれはもう10年ぐらい前からそうしたことは申し上げてきました。そのことがここ1年でさらに強まったと言われればそうかもしれません。当社はずっとやり続けてきたことですし、お客様も何らかの悩みを抱えておられる。実際に床だけ借りてそれでおしまい、という方は昔からなかなかいらっしゃらないと思います」

――今年4月には物流施設のテナント企業から物流に関する相談をワンストップで受け付けて対応する「コンシェルジュサービス」を本格的に始めました。受け付ける領域は物流拠点の最適化、輸配送、雇用支援、資材・備品(レンタル・売買)、自動化、施設運営と多岐にわたっています。これもソリューションプロバイダーとしての取り組みですが、顧客からの反応はいかがですか。
「コンシェルジュサービスを発表して以来、相談件数がものすごく多いんです。営業担当は従前からそうしたご相談への対応を当たり前のようにやってきた部分はありますので、お客様の方も当社に相談されることに慣れている世界もあるのかなと思います。あらためて、コンシェルジュとして正式にサービスを打ちだしたのですが、今でも既に200数十件の相談が届いており、おそらく来年には400~500件ぐらいに達するのではないかと予想しています。単にサービスを立ち上げただけではなく、既にちゃんとソリューションをご紹介して解決まで至っているケースもあります」

――それだけ相談件数が多いと、対応する人員の拡充が必要ではないですか。
「実はコロナ禍が始まって以降、当社の従業員は70人以上増えているんですよ。実に全従業員の40%がコロナ禍になってから入社しているというのはものすごいデータですね。これだけ事業の拡大、サービスの拡充にリソースを割いている局面ですから、当然ながら人員補強は力を入れてやらなければいけない部分と捉えて、積極的に採用を進めているところです」

「これは営業職に限らず、全社的に言えることです。新たな投資ファンドを立ち上げたり、プライベートエクイティのビジネスを始めたり、いろんな新事業にも進出していますので、そういった部分の増員もあります。事業額も以前の年間1000億円、1500億円から今は3000億円に拡大していますから、用地を取得する担当者、建物を開発する担当者、営業する担当者、管理の人間も増えています」

――70人超はどういった業界から?
「ほとんど物流不動産以外の業界からですね。物流以外の不動産だったり、金融機関だったりとバックグラウンドは本当に多様です」

――ここまで一気に増えるとは想定していましたか。
「これまでの日本GLPは物流施設開発オンリーのビジネスでしたから、ある程度はオーバーヘッド(間接費)を抑制できたんですが、今はお話した通り、ビジネスをいろんな領域に広げていますし、新たに事業やサービスを立ち上げるとなるとマンパワーが必要になってきますから、少し前倒ししてオーバーヘッドを増やしているという段階です。逆に投資を惜しんで少ないリソースでやろうとすると機動力が下がりますし、事業やサービスを始める好機を逸してしまうと元も子もありませんからね」

―新しく取り組みたいことはありますか。
「これまでにも言ってきていることではありますが、データセンターのビジネスや再生可能エネルギーの活用、コールドチェーンへの対応などですね。まだ本格的には着手してない部分もありますが、2022年くらいから具体化していくんじゃないかなと思います」

――再生可能エネルギーは御社の物流施設で活用しますか。
「自身で利用するという意味での再生可能エネルギーは必ず取り組みますが、加えて、自分で使うだけに限らず、それ以上の広がりを持たせたいと思います。当社以外の物流施設をカバーすることもあるでしょう」

(編集部注・日本GLPはこのインタビュー終了後の今年10月、電力小売事業に参入する方針を公表)

――22年にはかなり物流施設開発以外に事業展開が広がる可能性がありそうですね。
「そう思っています」

マルチ型冷凍・冷蔵倉庫は十分採算取れる

――物流施設はこれまでにも供給が過熱気味だと言われながらも需要が旺盛という状況が続いています。22年以降もそうした展開が続くと予想されていますか。
「大きな意味ではそうだと思います。先ほどもお話しましたが、用途が広がってきているところで、従来とはまた違った需要が増えてきています。私は楽観的に、需給バランスが逼迫した状況が続くのではないかと思っています」

――日本だけでなく、アジアや欧米含めて全体的に需要が旺盛という状況が続きそうですか。
「そうですね。どこのマーケットを見ても程度の差はありますが、物流施設に対する需要は底堅さが続いていると捉えています。ALFALINKのような多機能な物流施設を提供しているのは日本以外にはありませんから、その部分は日本独自だと言えそうですが、大きな意味で、コロナ禍でも安定した物流施設需要という構図は世界共通だと思います」

――最近は大規模な物流施設だけではなく、中小規模、コンパクトサイズの開発に注力するデベロッパーの動きも見られます。
「入居される会社や取り扱われる物量、オペレーションの規模によると思いますが、当社の物流施設は大規模なものであっても、ワンフロアを細かく分割できるような設計にして、そうしたコンパクトサイズのニーズにもお応えしています。大きな床は必要ないが専用施設でなければ困るというお客様には5000~6000坪規模の中型、小型の物流施設を開発することもあります。そのへんは本当に千差万別で、昔と変わらないですね」

――これだけ物流施設が増えてくると、適切に管理するプロパティマネジメント(PM)の重要度がかなり高まっていると思います。
「おっしゃる通り、最近はPMが大事だと言われる方も増えてきていますが、当社は日本でもう10年来、そうしたことを伝え続けています。物流施設が完成したらそこで終わり、ではなく、いろんな形でお客様と完成後もコミュニケーションを取り続けて、お客様にご愛顧いただき、次の物流施設のご利用にもつながっている。PM力の強いGLPということがお客様の間に浸透しているとの自負もあります」

――コールドチェーン需要への対応にかねて意欲を示されていますが、BTS型での開発からさらに踏み込んで、当初からマルチテナント型のような形で冷凍・冷蔵倉庫を開発していくイメージでしょうか。
「私は、そのように開発しても十分採算が取れるんじゃないかと思っています。食品が港に溢れている状態や、既存施設の老朽化の度合いなど、いろんなことを考えると、賃貸需要は確実にあると思います。これはもう過去長くこの業界にいる人間としての確信めいたものを持っています」

――マルチテナント型冷凍・冷蔵倉庫も22年に具体的な形として出てきそうですか。
「楽しみにしていてください(笑)」

(藤原秀行)

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