中堅・中小企業間の共同輸配送目指す「SIP地域物流ネットワーク化推進協議会」が87会員で本格始動

中堅・中小企業間の共同輸配送目指す「SIP地域物流ネットワーク化推進協議会」が87会員で本格始動

持続可能な体制構築へ、座長にローランド・ベルガーの小野塚氏を正式選出

物流業界が抱える人手不足などの課題解決に向け、地域で持続可能な物流の構築を目指す任意団体「SIP地域物流ネットワーク化推進協議会」は11月16日、オンラインで設立総会を開催、役員や事業計画などを正式に決めた。

座長にローランド・ベルガーの小野塚征志パートナー、同協議会全体のかじ取り役を担う運営委員長に「渋滞学」「無駄学」で知られ、ユニークな科学研究などに贈られる「イグ・ノーベル賞」を今年受賞した東京大学先端科学技術研究センターの西成活裕教授をそれぞれ選出。事務局長はセイノー情報サービスの早川典雄取締役が就任した。トラックドライバー不足などに直面している地域での共同物流ネットワーク構築へ本格的に始動した。


総会に臨む(左から)小野塚氏、早川氏、西成氏(SIP地域物流ネットワーク化推進協議会事務局提供)

同協議会は内閣府が推進している事業「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」に沿って活動。各地域の荷主企業や運送事業者などに参加を呼び掛けている。同日時点で会員は87(企業・団体会員53、個人特別会員2、個人会員32)に上る。

事業計画は同協会の活動目的として、「業種・業態を越えた共同輸配送による物流効率化」「地域物流における共同輸配送ネットワークの構築および全国展開による持続可能な物流の実現(SDGs=国連の持続可能な開発目標=への物流面での貢献)」「JV(共同出資体)の前駆体の組成」の3点を列挙。輸送効率化でトラックドライバーの就労環境改善を図ることも念頭に置いている。

活動内容として、中ロット貨物パレットの共同輸配送に向けたネットワーク構築と輸配送サービスの普及・啓蒙などを打ち出している。今年12月と2022年1、3月の計3回、個別テーマについてより深く議論するワーキング(作業部会)を開く予定。

小野塚氏は座長就任に際し「商習慣の見直しなどを含め、かつてない大胆かつ包括的なイノベーションを推進することに責任の重さを痛感している。道のりは平たんではないが、サステナブルな物流の実現に貢献すべく本協議会を運営してまいりたい」と決意を表明。

「本協議会を通じて、トラックは(ドライバーがシェアし、特定の荷主に限らず)無数にある企業の荷物を運ぶのが当たり前だという世界を作り上げられれば、物流は出荷ロットが小さいということは関係ない、よりサステナブルな存在になる世界がやってくる。それはまさにイノベーションが後押ししてくれる未来だ。そういう時代がやってくれば、物流会社にとってハッピーなだけでなく、物を運びたい人、物を受け取りたい人にとっても有意義なことになるだろう」と展望した。

西成氏は「地域物流の(共同輸配送の)取り組みは、物流革命のフィジカルインターネットにまさにつながっていくと期待している。ぜひ今後、企業の壁や商習慣(の違い)を乗り越えて実現させていきたい」と述べた。

(藤原秀行)

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